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【2026年8月版】太陽光発電所の出力制御状況|エリア別実績と秋の制御リスクを解説

2026年8月は全国的に厳しい暑さとなり、電力需要が大きく伸びた地域もありました。そのため、春のように全国各地で太陽光発電の出力制御が頻発する状況にはなりませんでした。一方、地域ごとに需給構造を見ると、北海道では8月中にも太陽光・風力の出力制御が実施されており、九州でも出力制御の指示が出される場面がありました。

太陽光発電所を運営している事業者にとって、「電力需要が大きいはずの夏なのに、なぜ発電を止めなければならないのか」という疑問は非常に大きいと思います。しかし、電力の需給は全国一律ではありません。気温、曜日、企業活動、太陽光発電量、火力発電所の稼働状況、揚水発電、蓄電池、地域間連系線など、さまざまな条件が重なった結果、全国的には電気が不足気味でも、特定のエリア・特定の時間帯だけ電気が余ることがあります。

資源エネルギー庁は、火力発電の出力抑制、揚水運転、地域間連系線の活用などを行っても供給が需要を上回る場合、再生可能エネルギーの出力制御が必要になると説明しています。また、自然変動電源の実際の出力制御実績については、同庁が案内する各エリアの公表情報を通じて確認する仕組みとなっています。

本記事では2026年9月5日時点で確認できる情報をもとに、2026年8月の太陽光発電を中心とした出力制御状況を整理するとともに、オンライン代理制御の仕組み、天候と発電量、JEPXスポット価格、そして9月以降の見通しについてEnergyTrendの視点から解説します。

2026年8月の太陽光発電所の出力制御状況

8月は春に比べると出力制御が大幅に少ない月となった

2026年8月の特徴は、春の低需要期と比較して太陽光・風力の出力制御が限定的だったことです。最大の理由は冷房需要です。

資源エネルギー庁が2026年5月にまとめた夏季の電力需給見通しでは、7~9月について厳しい暑さを前提に需給状況を検証しており、夏季は全国的に大きな電力需要が発生することを想定していました。実際に2026年8月は西日本を中心に厳しい暑さとなり、冷房需要が太陽光発電の供給力を吸収する方向に働きました。

ただし、これは「8月なら出力制御が起きない」という意味ではありません。日曜日やお盆休みなど企業活動が落ちる日、太陽光発電量が大きく伸びる晴天日、地域間連系線で十分に電力を送り出せない時間帯などが重なると、夏でも局地的な供給余剰は発生します。

2026年8月は、その典型的な例が北海道で確認されました。

北海道では8月にも太陽光・風力の実制御が発生

北海道では2026年8月2日、25日、28日、30日に、太陽光・風力を合わせた実際の出力制御が確認されています。最大余剰時刻における太陽光・風力の制御量は、8月2日が7.5万kW、8月25日が4.0万kW、8月28日が16.1万kW、8月30日が31.5万kWでした。

ここで注意したいのは、公表される速報値が「太陽光・風力」の合計となっていることです。そのため、31.5万kWすべてを太陽光発電の制御量と見ることはできません。ただし、日中の太陽光出力が増加する時間帯に需給余剰が発生したという意味では、太陽光発電所の運営者にとって重要な数字です。

特に8月30日は日曜日でした。平日に比べて工場、オフィス、商業施設などの需要が減少しやすいうえ、日中に再エネ発電量が増えれば、冷房需要が存在する8月でも電気が余ることがあります。

8月2日も日曜日であり、JEPXでは同日の北海道エリアプライスが一部の30分コマで0.01円/kWhまで低下しました。全国の電力価格が高止まりしていた2026年夏に、北海道ではほぼゼロに近い市場価格が出現していたことになります。これは「全国的には電力価格が高いのに、北海道のある時間帯では電気が余っていた」という地域差を象徴する動きといえるでしょう。JEPXではスポット市場について30分単位のシステムプライスと9エリアのエリアプライスを公表しています。

九州では8月11日に出力制御指示が出たものの実制御は回避

九州では8月11日について出力制御の前日指示が出されました。事前段階では再エネの制御が必要になると見込まれましたが、当日の需給状況を踏まえた結果、最終的な実制御はありませんでした。

この違いは非常に重要です。「出力制御指示が出た日数」と「実際に発電量が抑えられた日数」は必ずしも一致しません。天候が予想より曇った、需要が想定より増えた、連系線を通じて域外へ送電できたといった変化によって、前日に想定していた供給余剰が当日には解消されることがあるためです。

8月11日はお盆期間に入り始める時期でもあります。企業や工場の休業によって電力需要が低下しやすいため、九州のように太陽光発電設備が大量に導入されているエリアでは、夏であっても需給余剰への警戒が必要になります。

2026年8月のエリア別出力制御を比較

JEPX9エリアでは北海道の実制御が目立った

今回はJEPXスポット市場との比較を行うため、北海道から九州までの9エリアで整理します。沖縄はJEPXのエリアプライスの対象外であるため、この表には含めていません。

エリア2026年8月の主な状況2026年度出力制御率見通し9月以降の注目度
北海道太陽光・風力の実制御を複数日確認1.8%高い
東北8月の実制御は確認されず4.0%高い
東京8月の実制御は確認されず0.03%低い
中部8月の実制御は確認されず0.2%やや低い
北陸8月の実制御は確認されず2.7%高い
関西8月の実制御は確認されず0.1%やや低い
中国8月の実制御は確認されず1.8%高い
四国8月の実制御は確認されず2.9%高い
九州8月11日に指示、当日は実制御なし6.9%非常に高い

2026年度の短期見通しでは、九州の出力制御率が6.9%と9エリアで最も高く、東北4.0%、四国2.9%、北陸2.7%などが続きます。一方、東京、中部、関西では比較的低い見通しとなっています。これは8月だけの実績ではなく2026年度全体のシミュレーション値ですが、これから秋の低需要期へ向かううえで重要な参考指標です。経済産業省の次世代電力系統ワーキンググループでは、各エリアについて2026年度の出力制御見通しが示されています。

代理制御事業者と代理制御されない事業者では何が違うのか

「代理される側」と「実際に制御する側」は同じではない

出力制御を考えるうえで分かりにくいのが、オンライン代理制御です。

資源エネルギー庁によると、オンライン代理制御では、本来であれば出力制御を行うオフライン発電所の代わりに、オンラインで遠隔制御できる発電所が出力を抑えます。一方、代理制御の対象となったオフライン発電所は物理的には発電を継続し、その後の精算によって「制御されたもの」として扱われます。

整理すると次のようになります。

区分発電所の実際の動き売電・精算上の扱い
オフライン(代理)原則として実際には停止しない代理制御されたものとして後日精算
オンライン制御PCSなどを通じて実際に出力を抑える自らの制御分に加え代理分を考慮して精算
オフライン(本来)前日指示などに基づき実際に停止・抑制実際の制御として扱われる

この仕組みによって、単純に発電所を丸一日停止する従来型の出力制御よりも、必要な時間・必要な量だけを細かく抑えることができます。

そのため、「代理制御事業者のほうが得」「オンライン事業者のほうが損」と単純に見ることはできません。オンライン発電所は実際にPCSの出力を落とす一方、代理制御の対象となるオフライン発電所は発電を継続しますが、後日の精算によって経済的な負担が調整されます。

エリア別に見ても、この基本的な仕組みは共通しています。ただし、九州、東北、四国、北海道など出力制御そのものが多いエリアほど、代理制御比率やオンライン化率が発電事業者の年間収入に与える影響も大きくなります。

なぜ8月でも電力が余ったのか

電力使用量は「暑さ」だけでは決まらない

2026年8月は、西日本で月平均気温が「かなり高い」、北日本で「高い」となりました。西日本では下旬の平均気温平年差が+2.5℃となり、1946年の統計開始以降、8月下旬として1位の高温となっています。つまり全国的に見れば、冷房需要は出力制御を抑える方向に働いていました。

それでも出力制御が起きる理由は、「年間や月間の需要」ではなく「その30分間の需要と供給」を一致させなければならないからです。

特に日曜日、祝日、お盆休みなどは工場や事業所の稼働が低下します。住宅の冷房需要が増えたとしても、大規模な産業需要の減少を完全には補えない場合があります。その状態で晴天となり、午前から昼にかけて太陽光発電が一斉に発電すると、数時間だけ供給量が需要量を上回ることがあります。

JEPXの価格推移にもその傾向は現れました。EnergyTrendでJEPX公表データを集計すると、2026年8月のシステムプライス月平均は19.14円/kWhと高水準でしたが、お盆期間には価格が大きく低下しました。また、休日は平日に比べて価格が低くなる場面が多く、電力需要の減少を市場価格からも読み取ることができます。JEPX価格は需要だけで決まるものではありませんが、低需要時に売り電力が余れば価格が下がりやすくなります。

2026年8月は太陽光発電に有利な天候だった地域も多い

もう一つ重要なのが天候です。

気象庁によると、2026年8月は北日本や西日本で高気圧に覆われやすく、晴れた日が多くなりました。北日本日本海側の日照時間は「かなり多い」とされ、8月上旬については平年比164%となり、1961年の統計開始以降、8月上旬として最も多い日照時間となりました。北日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側でも月間日照時間は「多い」とされています。

気温が高すぎると太陽光パネルの変換効率そのものは低下しますが、日照時間が長く晴天が続けば、発電所全体として一定以上の発電量を確保しやすくなります。資源エネルギー庁も、太陽光発電は高温時には発電効率が低下することを説明しています。

つまり8月は、「高温によって需要は増えたが、晴天によって太陽光発電量も増えた」という双方の力が働いていました。その中で、需要が落ちる休日などに供給側が勝った地域では、出力制御が必要になったと考えるのが自然です。

火力を止めれば太陽光を制御しなくて済むのではないか

火力・揚水・連系線を使った後に再エネ制御が行われる

「太陽光を止める前に火力発電を止めればいいのではないか」と感じる人もいるでしょう。

しかし実際の電力系統では、太陽光発電だけを見て需給を調整しているわけではありません。火力発電には技術的な最低出力があり、完全停止・再起動を短時間で繰り返すことはできません。また、周波数調整や系統安定化のために一定の同期電源を維持する必要もあります。

そのため優先給電ルールでは、まず火力発電の出力抑制、揚水発電による余剰電力の吸収、蓄電池の充電、地域間連系線を利用した他エリアへの送電などを行い、それでも電気が余る場合に太陽光・風力の出力制御へ進みます。

問題は、太陽光発電設備が増加するほど晴天日の昼間に供給が集中することです。全国の年間電力量として不足しているか余っているかではなく、「晴れた日の11時から14時に大量の電気が同時に発生する」ことが系統運用上の課題になっています。

JEPXスポット価格から見る9月以降の出力制御

電力価格は高いが、昼間には余剰リスクが残る

2026年8月のJEPXシステムプライス月平均は、EnergyTrendによるJEPX公表値の集計で19.14円/kWhでした。7月平均17.91円/kWhを上回っており、夏季としてかなり高い水準が続いています。

さらに8月24~30日は週間平均22.66円/kWhまで上昇しました。8月26日にはシステムプライスが50円/kWhを超える時間帯も発生しており、「電気が余っている市場」とは到底言えない状況です。

ところが9月に入り、週末には価格が再び低下しています。2026年9月6日受渡分の日平均システムプライスは13円台まで低下しました。一方、直近7日平均では20円/kWhを超える水準が続いています。

この一見矛盾した値動きこそ、今後の出力制御を考えるうえで重要です。JEPXスポット市場は全国平均・月平均だけを見るのではなく、「どのエリアの、何時の価格が下がっているか」を見る必要があります。昼間の価格が低く、夕方に急上昇する形が強まれば、太陽光が発電している時間には供給余剰がある一方、日没後には供給力が不足するという、いわゆるダックカーブがさらに鮮明になります。JEPXは30分単位、日平均、月平均、各エリア価格を公表しており、こうした需給構造を確認できます。

EnergyTrendが予測する2026年9月以降の出力制御

9月後半から10月は出力制御が増える可能性

EnergyTrendでは、9月後半から10月にかけて、2026年8月よりも太陽光発電の出力制御が増加する可能性があると考えています。

理由は冷房需要の減少です。

9月前半は残暑が続けば夏に近い需要が残ります。しかし気温が下がり始めると、家庭、店舗、オフィスなどでエアコンの使用量が急速に減ります。一方で、9月や10月でも晴天日の昼間には太陽光発電設備がかなりの発電量を維持します。

特に土日・祝日に晴天が重なると、企業活動の減少、冷房需要の減少、太陽光発電量の増加という3条件がそろいやすくなります。

資源エネルギー庁の2026年度短期見通しでも、九州6.9%、東北4.0%、四国2.9%、北陸2.7%など、複数エリアで一定規模の出力制御が想定されています。春ほど日射条件が良くないとしても、冬の暖房需要が本格化するまでの秋は、需給面では注意すべき期間です。

特に九州、東北、北海道、四国などでは、週間天気予報だけでなく、JEPXの昼間エリアプライスを合わせて確認していくことで、出力制御リスクを早めに把握できる可能性があります。

電気代が上がるのに太陽光を止める矛盾は解消すべき

蓄電池の普及だけではなく電力システム全体の改善が必要

2026年の電力市場を見ていると、筆者として最も違和感を覚えるのが、「電気代や卸電力価格が上昇している一方で、せっかく発電できる太陽光発電を止めなければならない」という状況です。

もちろん、電気料金の上昇と出力制御は仕組みが異なります。電気料金には燃料価格、為替、託送料金、各種制度費用などが影響します。一方、出力制御は特定の時間・エリアにおける需給バランスの問題です。そのため、全国平均の電気料金が上がっているからといって、北海道や九州の昼間に電力が余らないとは限りません。

それでも、社会全体として見れば改善すべき余地は大きいでしょう。

燃料を輸入して火力発電を行い、その影響を受けて電力価格が上昇する一方で、国内で燃料費をほとんど必要とせず発電できる太陽光発電を制御している状態は、長期的に見て効率的とは言いにくいからです。

今後、系統用蓄電池や発電所併設型蓄電池が本格的に普及すれば、昼間に余った太陽光発電を充電し、夕方から夜間に放電する運用が広がっていくでしょう。JEPXでも昼間価格が安く夕方価格が高い日が増えれば、蓄電池にとっては価格差を利用しやすい市場環境になります。

ただし、蓄電池を増やせばすべて解決するわけではありません。地域間連系線の増強、送電網の整備、需要側を動かすデマンドレスポンス、EV充電の昼間シフト、再エネ発電設備のオンライン化、蓄電池の系統接続迅速化などを同時に進める必要があります。

2026年8月は夏の高需要期だったため、全国的には出力制御が比較的限定された月でした。しかし9月以降、冷房需要が減少し、冬の暖房需要が本格化するまでの期間は再び需給余剰が発生しやすくなります。

太陽光発電所を運営する立場としては、発電量だけでなく、「いつ需要が減るのか」「昼間のJEPX価格がどこまで下がっているのか」「代理制御を含めてどの程度の制御が発生しているのか」を継続的に確認する必要があります。

電気料金が上昇しているにもかかわらず、発電できる再生可能エネルギーを制御する状態を当然のものとしてしまうのは望ましくありません。系統用蓄電池の本格普及によって状況は徐々に改善すると期待していますが、電気を「発電する」ことから「必要な場所・必要な時間へ移す」仕組みへ転換できるかどうかが今後の大きな課題です。太陽光発電の導入量だけを増やす段階から、発電した電気を無駄なく利用できる電力システムへ移行できるか。出力制御の増加は、その根本的な課題を改めて示しているのではないでしょうか。

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出典・引用

資源エネルギー庁「出力制御について」の公式ページはこちら
資源エネルギー庁「経済的出力制御(オンライン代理制御)の精算方法等」の公式ページはこちら
資源エネルギー庁「出力制御の予見性を高める情報公開・開示」の公式ページはこちら
経済産業省「第6回 次世代電力系統ワーキンググループ」の公式ページはこちら
経済産業省「2026年度夏季の電力需給対策」の公式資料はこちら
気象庁「2026年8月の天候」の公式ページはこちら
日本卸電力取引所(JEPX)「スポット市場」の公式ページはこちら

本記事の出力制御見通しや今後の予測は、公開されている電力需給、気象、JEPXスポット市場などの情報をもとに、EnergyTrendが独自に分析したものです。実際の出力制御状況や制御量は、天候、電力需要、発電量、連系線の運用状況などによって変動するため、本記事の予測と実際の結果が異なる場合があります。
最新の出力制御情報については、資源エネルギー庁などの公式情報をご確認ください。

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未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

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