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【2026年11月第1週】JEPXスポット価格|電力市場週間レポート(2026年11月2日~11月8日)

2026年11月第1週のJEPX(日本卸電力取引所)スポット市場は、週初めの高値から週末にかけて価格が下落する一方、東日本と西日本の価格差が鮮明となった一週間でした。

11月2日~8日の週間平均システムプライスは24.05円/kWhとなり、前週10月26日~11月1日の25.44円/kWhから約5.5%低下しました。11月2日には日平均30.09円/kWhと高い水準で始まり、11月5日には30.81円/kWhまで上昇しましたが、その後は下落し、11月8日には18.45円/kWhとなりました。

今週も特に目立ったのが、東日本と西日本の価格差です。東京エリアの週間平均は29.72円/kWh、中部エリアは29.84円/kWhとなった一方、四国エリアは13.12円/kWh、九州エリアは14.33円/kWhにとどまりました。北海道・東北も20円/kWhを超えており、東日本側の価格が高く、西日本側の価格が低い「東高西低」の市場構造が続いています。

さらに注目したいのが、同じ日の電力市場でも極端な価格差が発生していることです。11月2日には東京エリアで50.00円/kWh、北海道エリアでも50.00円/kWhのスパイクが発生しました。その一方、西日本では日中に0.01円/kWhという極端な安値を記録する時間帯も確認されています。

秋から冬への季節の変わり目に入り、北海道や東北では暖房需要が増加し始める一方、日照時間の短縮によって太陽光発電の供給力は減少しやすくなります。また、11月に入って原油や天然ガスなどの一部燃料価格が下落しており、火力発電の燃料調達環境にも変化が見られます。今後は、暖房需要の増加と燃料価格の下落という、電力市場に対して反対方向に働く要因をどのように評価するかが重要になりそうです。

本記事では、JEPXのスポット市場データをもとに、週間平均、日別価格、時間帯別価格、全国9エリアの平均価格、約定総量、価格スパイクなどを前週と同じ指標で定点観測します。さらにEnergyTrend独自の視点から、次週11月9日~15日の電力市場を予測します。

※本記事の価格・約定量は、JEPX公表の2026年11月8日受渡分までのスポット市場データをもとに独自集計したものです。11月8日分については、11月7日時点で公表されている翌日受渡分の約定結果を使用しています。

2026年11月第1週のJEPXスポット価格まとめ

まずは11月2日~8日の主要指標を前週と比較してみましょう。

指標10月第5週11月第1週前週比
週間平均システムプライス25.44円24.05円-5.5%
日中平均(10~14時)15.32円13.83円-9.7%
夕方平均(17~20時)32.89円32.33円-1.7%
東京エリア平均31.14円29.72円-4.6%
北海道エリア平均22.90円23.09円+0.8%
四国エリア平均12.91円13.12円+1.6%
北海道の最高価格50.00円50.00円横ばい
週間約定総量約6,953GWh約6,975GWh+0.3%

※価格単位は円/kWh。前週比は小数点以下の未丸め数値から算出しています。日中平均は10~14時、夕方平均は17~20時の各30分コマの単純平均です。

今週は週間平均が前週から5.5%下落した一方、北海道エリアでは小幅ながら価格が上昇しました。東京エリアも約4.6%の下落にとどまり、全国的に価格が大きく低下したわけではありません。特に注目したいのは、日中平均が9.7%低下した一方、夕方の価格はわずか1.7%の下落にとどまっていることです。太陽光発電の出力が期待できる日中には価格が下がりやすい一方、発電量が減少する夕方から夜間にかけては依然として高い価格水準が続いています。

前週から続く市場の特徴として、週間平均の下落だけで需給環境が改善したと判断するのは早いと考えています。時間帯によって電力の市場価値が大きく変化する状況は、依然として解消されていません。

週間平均は24.05円/kWh|前週から5.5%下落

2026年11月第1週の週間平均システムプライスは24.05円/kWhとなりました。前週の25.44円/kWhから1.39円低下し、10月下旬から続いていた高値基調には一定の落ち着きが見られます。ただし、週を通じて安値が続いたわけではなく、11月2日と5日には日平均30円/kWhを超えています。

日別システムプライスの推移

受渡日日平均価格日内最高価格
11月2日(月)30.09円40.00円
11月3日(火・祝)21.37円31.61円
11月4日(水)26.60円37.18円
11月5日(木)30.81円37.60円
11月6日(金)21.28円30.37円
11月7日(土)19.77円29.71円
11月8日(日)18.45円31.54円

※価格単位は円/kWh。

11月2日は30.09円/kWhと高い水準で始まりましたが、翌3日は21.37円/kWhまで低下しました。11月3日は文化の日であり、祝日による産業用電力需要の減少が、価格を押し下げる方向に働いた可能性があります。その後、11月4日は26.60円/kWh、11月5日は30.81円/kWhと再び上昇しました。週の前半から中盤にかけて価格が大きく変動しており、需要だけでなく、発電設備の供給力や天候による再生可能エネルギーの出力変化が影響した可能性があります。

一方、11月6日からは下落傾向が強まり、7日は19.77円/kWh、8日は18.45円/kWhとなりました。週末に向けて市場価格が低下した点は前週と共通しています。ただし、11月8日も日内最高価格は31.54円/kWhとなっており、価格が完全に落ち着いたとはいえません。電力需要が少ない時間帯には価格が下落するものの、供給力に余裕がなくなる時間帯では、依然として30円/kWhを超える価格が形成されています。

11月2日と5日に30円超|週末にかけて価格は下落

今週の特徴は、週の前半から中盤にかけて高値が発生した後、週末に向けて価格が下落したことです。11月2日の日平均は30.09円/kWh、11月5日は30.81円/kWhとなり、いずれも30円/kWhを超えました。10月下旬から続く比較的高い価格水準が、11月に入っても継続していることが分かります。

需要の変化だけでは説明できない価格変動

通常、電力需要は平日の日中に増加し、土日祝日には減少する傾向があります。しかし、JEPXのスポット価格は需要量だけで決まるわけではありません。太陽光発電や風力発電の出力、火力発電設備の稼働状況、水力発電の供給力、地域間連系線の利用状況など、さまざまな要因によって価格が変化します。

例えば、電力需要がそれほど多くない日でも、曇天や降雨によって太陽光発電の出力が低下すれば、火力発電などへの依存度が高まり、価格が上昇する可能性があります。反対に、晴天によって太陽光発電の供給力が増加すれば、比較的需要が多い日であっても価格が低下する場合があります。

11月は冷房需要が落ち着く一方、北海道や東北などでは暖房需要が増加し始める時期です。地域によって季節性が異なるため、今後は全国平均だけでなく、各エリアの価格を個別に観測する重要性が高まっていくと考えています。

日中平均は13.83円/kWh|前週から9.7%下落

11月2日~8日の10~14時における平均システムプライスは13.83円/kWhとなりました。前週の15.32円/kWhから約9.7%低下しており、週間平均価格の下落率5.5%を上回っています。

太陽光発電が市場価格を押し下げる時間帯

日中のスポット価格が下がりやすい背景には、太陽光発電による供給力の増加があります。太陽光発電は燃料費を必要としないため、発電量が増加すると、相対的に高い価格の電源が市場で必要とされにくくなることがあります。特に需要が少ない土日祝日には、再生可能エネルギーの供給量が需要に対して大きくなりやすく、スポット価格が急低下する場合があります。

ただし、秋から冬にかけては日照時間が短くなり、太陽の高度も低下するため、同じ晴天であっても夏季と比較すると太陽光発電の発電量が減少しやすくなります。今週は日中価格の低下が確認されましたが、今後も同じ水準が続くとは限りません。日照時間の短縮に加え、曇天や降雪などによって発電量が低下すれば、日中であっても価格が上昇する可能性があります。

今後は太陽光発電が比較的多く供給される日中にも、東日本を中心に価格が上昇する場面が増えるかどうかを注視したいところです。

夕方17~20時は32.33円/kWh|依然として高い価格水準

今週の17~20時の平均システムプライスは32.33円/kWhとなりました。前週の32.89円/kWhから約1.7%低下しましたが、依然として30円/kWhを超えています。日中平均13.83円/kWhと比較すると、夕方の平均価格は約2.3倍となりました。

太陽光発電の出力低下と夕方の需給変化

夕方は太陽光発電の出力が急速に減少する時間帯です。特に11月は日没時刻が早くなり、17時以降には太陽光発電による供給力をほとんど期待できない地域が増えています。その一方、家庭では照明や暖房、調理などの電力使用が増加しやすく、需要が高まる時間帯でもあります。

このように、太陽光発電の供給量が減少するタイミングと電力需要が増加するタイミングが重なることで、火力発電や揚水発電など、出力調整が可能な電源の役割が重要になります。今週は週間平均価格が下落しましたが、夕方の価格はほとんど低下していません。これは、日中と夕方の需給環境に大きな違いが存在していることを示しています。

EnergyTrendでは、冬季に向けた市場動向を判断するうえで、週間平均価格以上に夕方17~20時の価格推移を重要な指標として観測しています。

エリア別平均価格|中部29.84円、東京29.72円、四国13.12円

11月第1週のJEPXスポット市場では、東日本と西日本の価格差が引き続き鮮明となりました。特に中部エリアと東京エリアでは週間平均が30円/kWhに迫った一方、四国・九州・中国エリアでは15円/kWhを下回っています。

全国9エリアの週間平均価格

エリア10月第5週11月第1週前週差
北海道22.90円23.09円+0.18円
東北25.38円22.99円-2.39円
東京31.14円29.72円-1.42円
中部27.97円29.84円+1.87円
北陸22.45円19.75円-2.70円
関西22.45円19.66円-2.79円
中国16.42円14.67円-1.75円
四国12.91円13.12円+0.21円
九州16.02円14.33円-1.69円

※価格単位は円/kWh。表示数値の丸めにより、前週差が一致しない場合があります。

今週最も高かったのは中部エリアの29.84円/kWhで、東京エリアの29.72円/kWhをわずかに上回りました。前週は東京エリアが31.14円/kWhと突出していましたが、今週は中部エリアが前週から1.87円上昇しています。一方、北陸・関西・中国・九州では比較的大きな価格下落が確認されました。特に関西エリアは前週から2.79円低下しており、西日本側の価格低下が目立っています。

東京と四国の価格差は16.60円/kWh

東京エリアの週間平均29.72円/kWhに対し、四国エリアは13.12円/kWhでした。両エリアの価格差は16.60円/kWhとなっています。同じ日本国内でありながら、スポット市場で取引される電力の価格が2倍以上異なるという状況です。

この背景には、地域ごとの需要と供給の違いに加え、地域間連系線の送電容量や市場分断などの影響が考えられます。電力は送電線を通じて地域間で融通されていますが、自由に無制限の電力を移動できるわけではありません。連系線の容量に制約が生じれば、安い地域の電力を高い地域へ十分に送れない場合があり、それぞれのエリアで異なる市場価格が形成されます。

今週の東高西低の傾向は、単なる地域ごとの需要差だけでなく、全国的な電力融通の制約を考えるうえでも興味深い動きといえます。

四国エリアは13.12円/kWh|西日本の安値が続く

四国エリアの週間平均価格は13.12円/kWhとなり、全国9エリアの中で最も安い水準でした。前週の12.91円/kWhからわずかに上昇しましたが、東京や中部と比較すれば、依然として非常に安い価格となっています。

四国エリアの日別価格推移

受渡日四国エリア日平均
11月2日(月)12.39円
11月3日(火・祝)8.56円
11月4日(水)15.30円
11月5日(木)18.52円
11月6日(金)12.83円
11月7日(土)11.03円
11月8日(日)13.21円

※価格単位は円/kWh。

四国エリアでは、11月3日の日平均が8.56円/kWhとなり、10円を下回りました。11月2日も12.39円/kWhにとどまっており、東日本で高値が発生していた時期にも、四国では比較的安い価格が形成されていたことになります。

四国の安値は今後も続くのか

四国エリアの価格が低い背景には、地域内の電力需要と供給力のバランス、太陽光発電などの再生可能エネルギー、地域間連系線の利用状況などが関係していると考えられます。特に、太陽光発電の出力が増加する日中には、市場で必要とされる追加的な供給力が少なくなり、価格が低下する場合があります。

ただし、四国エリアの安値をすべて太陽光発電だけで説明することはできません。火力発電の稼働状況、水力発電の供給力、連系線の制約などについても確認する必要があります。今後は日照時間の減少に伴い、太陽光発電の供給力が低下しやすくなります。それでも四国エリアの価格が低い水準を維持するのであれば、再生可能エネルギー以外の供給力や地域間の電力融通の影響も、さらに詳しく観測する必要があるでしょう。

日中には0.01円/kWhの安値|西日本で極端な価格低下

11月第1週も、複数のエリアで0.01円/kWhという極端な安値が発生しました。これはJEPXスポット市場の最低価格水準であり、特定の時間帯に電力の供給余力が大きくなっていたことを示す価格シグナルと考えられます。

0.01円を記録したエリア

エリア0.01円を記録した30分コマ数週間最低価格
中国23コマ0.01円
四国27コマ0.01円
九州39コマ0.01円
関西0コマ0.03円
北陸0コマ0.03円
東京0コマ1.02円

※対象期間は11月2日~8日。各コマは30分間です。

特に九州エリアでは39コマ、中国エリアでは23コマ、四国エリアでは27コマにわたって0.01円/kWhが記録されました。このような価格低下は、祝日や週末など電力需要が少なくなる時間帯に、太陽光発電などの供給力が需要に対して大きくなることが一因として考えられます。

ただし、スポット価格が0.01円になったことと、実際に太陽光発電の出力制御が実施されたことは同じではありません。出力制御は、電力の需要と供給のバランスを維持するために実施されるものであり、市場価格だけから実施状況を判断することはできません。今後も西日本のスポット価格が低い水準で推移する場合、再生可能エネルギーの出力制御や蓄電池の充放電、地域間電力融通の動向にも注目する必要があります。

東京・北海道で50円/kWhのスパイクが発生

今週は、東京エリアと北海道エリアで50.00円/kWhの価格スパイクが発生しました。一方、同じ11月2日には西日本で10円/kWh前後の価格が形成される時間帯もあり、エリア間の価格差が非常に大きくなっています。

50円スパイクの発生状況

受渡日エリア時間帯最高価格
11月2日東京13:00~13:3050.00円
11月2日北海道19:00~19:3050.00円

東京では日中の13時台、北海道では夕方から夜間にかけて50円のスパイクが発生した点が特徴です。同じ50円/kWhという価格であっても、発生した時間帯が異なることから、その背景にある需給環境も異なっていた可能性があります。

東京エリアのスパイク|日中の太陽光発電と供給力が焦点

東京エリアでは、11月2日の13時~13時30分に50.00円/kWhを記録しました。この時間帯は通常、太陽光発電による供給力を期待できる時間帯です。しかし、太陽光発電は天候によって出力が大きく変化するため、雲の広がりや降雨によって発電量が想定より少なくなる場合があります。

その際、太陽光発電で賄うことができなかった電力需要を、火力発電や水力発電などで補う必要があります。また、東京エリア内の供給力が十分でない場合、他エリアからの電力融通が重要になりますが、連系線の利用状況によっては安い電力を十分に受け入れられないこともあります。

実際に11月2日の同じコマでは、東京が50.00円/kWhだった一方、中国は10.19円/kWh、四国は8.40円/kWhでした。この大きな価格差は、地域間の市場分断や供給条件の違いを考えるうえで重要な材料です。ただし、東京のスパイクが太陽光発電の出力低下によって発生したと断定することはできません。実際の太陽光発電量、火力発電の稼働状況、連系線の利用状況などを合わせて確認する必要があります。

北海道エリアのスパイク|19時台の供給力不足リスク

北海道エリアでは、11月2日の19時~19時30分に50.00円/kWhを記録しました。北海道では11月に入ると気温が低下し、暖房需要が増加しやすくなります。特に夕方から夜間は家庭での電力使用が増える一方、太陽光発電からの供給力を期待できない時間帯です。そのため、火力発電や水力発電、地域間の電力融通などが重要になります。

北海道は本州との電力融通に設備上の制約があるため、地域内の供給力や需給バランスの変化が市場価格に反映される場合があります。今週の50円スパイクについても、暖房需要の増加や夕方以降の供給力確保、他エリアとの電力融通などが背景として考えられます。ただし、JEPXの約定価格だけでは、実際に物理的な供給力不足が発生したかどうかを判断することはできません。

今後も50円超のスパイクは発生するのか

EnergyTrendでは、北海道と東京で今後も50円/kWh前後のスパイクが発生する可能性は十分にあると考えています。特に北海道では、気温低下による暖房需要の増加と、太陽光発電の供給力低下が重なる場合、市場価格が大きく上昇する可能性があります。東京エリアでも、平日の電力需要が高まる時間帯に、太陽光発電の出力低下や火力発電の供給制約が重なれば、50円を超える価格が形成される可能性があります。

もっとも、スパイクの発生は特定の需給条件に左右されます。今週50円を記録したからといって、翌週も必ず同じ水準まで上昇するわけではありません。価格の高止まりと瞬間的な価格スパイクは分けて考える必要があります。

約定総量は約6,975GWh|前週比0.3%増加

今週のJEPXスポット市場における週間約定総量は、約6,975GWhとなりました。前週の約6,953GWhから約0.3%増加しており、取引量はほぼ横ばいで推移しています。

週間約定総量の比較

指標10月第5週11月第1週
週間約定総量約6,953GWh約6,975GWh
前週からの変化—+0.3%
週間平均価格25.44円24.05円

今週は約定総量が小幅に増加した一方、週間平均価格は5.5%低下しました。このことから、取引量の増減と市場価格の変化は必ずしも一致していないことが分かります。

約定総量はスポット市場で実際に取引が成立した電力量であり、全国の総電力需要そのものではありません。市場価格を判断する際には、約定総量だけでなく、売り入札と買い入札の状況、発電設備の供給力、再生可能エネルギーの出力、地域間連系線の制約などを合わせて確認する必要があります。

LNG・石炭・原油価格の動向|11月に入り燃料市場にも変化

11月に入り、発電用燃料の国際市場にも変化が見られています。特に原油価格は下落傾向となっており、天然ガス市場でも一部の指標に価格低下が確認されています。一方、石炭価格については、原油と同じように急落しているとはいえず、燃料ごとに異なる動きとなっています。

11月上旬の主要燃料価格

燃料・指標直近確認価格直近30日平均
JKM(LNG)31.57ドル/MMBtu28.62ドル
Brent原油97.76ドル/バレル106.46ドル
WTI原油90.34ドル/バレル95.56ドル
API2石炭147.75ドル/トン145.47ドル
TTF天然ガス85.98ユーロ/MWh85.87ユーロ

※EnergyTrend「発電燃料価格 最新データ」の2026年11月7日更新時点で確認できた参考値。指標によって価格日が異なり、API2石炭は11月2日の価格です。

原油価格の下落は電力市場に波及するのか

Brent原油価格は直近30日平均の106.46ドル/バレルに対し、11月6日時点では97.76ドル/バレルとなっています。WTI原油も30日平均を下回っており、原油市場には価格下落の動きが見られます。

一方、LNG価格の代表的な指標であるJKMは、直近7日平均からは低下しているものの、30日平均を上回っています。また、API2石炭も30日平均より高い水準となっています。したがって、11月上旬の燃料市場については、原油を中心に下落傾向が確認される一方、LNGや石炭を含めたすべての燃料が一斉に急落しているわけではないと整理するのが適切でしょう。

燃料価格の下落がすぐにJEPX価格へ反映されるとは限らない

火力発電の燃料費は、電力の卸売価格を形成する重要な要素の一つです。国際燃料価格が下落すれば、中長期的には発電コストを押し下げる方向に働く可能性があります。ただし、日本の火力発電用燃料は長期契約などによって調達される場合も多く、国際市場価格の変化がすぐに発電コストへ反映されるとは限りません。

また、為替相場が円安方向に推移すれば、ドル建ての燃料価格が下落しても、円換算の調達コストが十分に低下しない可能性があります。EnergyTrendでは、11月の燃料価格下落が電力市場に与える影響について、短期的には限定的と考えています。むしろ、11月中旬にかけては気温低下による暖房需要の増加や、太陽光発電の供給力低下といった需給要因が、スポット価格に大きな影響を与える可能性があります。

次週11月9日~11月15日のJEPX価格を予測

ここからは、今週の市場動向を踏まえ、次週11月9日~15日のスポット価格を予測します。EnergyTrendでは、来週も東日本の価格が西日本を上回る「東高西低」の傾向が続く可能性が高いと考えています。特に北海道・東北では気温低下によって暖房需要が増加する可能性があり、東京・中部では平日の需要と太陽光発電の出力変動が価格を左右すると予想しています。

次週の週間平均システムプライス予測

2026年11月9日~15日の週間平均システムプライスは、23.0~27.0円/kWh、中心予測は25.0円/kWhとしています。11月第1週の週間平均24.05円/kWhに対し、同程度からやや高い水準で推移する可能性があると考えています。

燃料価格の下落が市場に落ち着きをもたらす可能性はあるものの、北海道・東北の暖房需要や、太陽光発電の供給力低下を考慮すると、大幅な価格下落は見込みにくいと考えています。

全国9エリアの次週価格予測

エリア今週実績次週予測レンジ中心予測
北海道23.09円23~29円26.0円
東北22.99円23~29円26.0円
東京29.72円28~34円31.0円
中部29.84円27~33円30.0円
北陸19.75円19~25円22.0円
関西19.66円18~24円21.0円
中国14.67円13~19円16.0円
四国13.12円11~17円14.0円
九州14.33円12~18円15.0円

※価格単位は円/kWh。予測は11月8日時点の市場動向をもとにしたEnergyTrend独自の見通しであり、JEPXが公表する将来価格ではありません。

来週も東日本は高い基調となるのか

来週も東京・中部を中心に、東日本の価格が比較的高い状態が続くと予想しています。東京エリアは28~34円/kWh、中部エリアは27~33円/kWhを想定しており、週間平均では30円/kWh前後となる可能性があります。

東京・中部は30円前後の高値を想定

東京・中部エリアでは、平日の産業用電力需要に加え、気温低下による暖房需要の増加が価格を押し上げる可能性があります。また、日照時間の短縮によって太陽光発電の供給力が減少すれば、日中でも火力発電などへの依存度が高まります。

一方、晴天が続き、太陽光発電が比較的安定して供給されれば、日中の価格が低下する可能性もあります。今週の東京エリアは29.72円/kWh、中部エリアは29.84円/kWhとなりましたが、来週も同程度かやや高い価格水準を中心に推移する可能性があると考えています。

北海道・東北は暖房需要の増加に注意

来週は北海道や東北の価格動向が特に重要になると考えています。気象庁の週間天気予報では、11月9日~11日にかけて北海道の一部地域で気温が低下し、雪が予想されています。

札幌では11月10日の最高気温が2℃、最低気温がマイナス3℃と予想されるなど、暖房需要が増加しやすい環境となっています。北海道では暖房設備の電力使用に加え、日照時間の短縮による太陽光発電の供給力低下が重なる可能性があります。

このため、北海道エリアは週間平均23~29円/kWh、東北エリアも23~29円/kWhと、今週を上回る価格水準を予想しています。ただし、気温低下がそのまま電力需要の急増につながるとは限りません。暖房設備の種類や、火力発電などの供給力によっても価格は変化します。

東日本の50円超スパイクは今後も継続するのか

EnergyTrendでは、次週も北海道・東京で50円/kWhを超える価格スパイクが発生する可能性があると考えています。ただし、週間平均価格が30円/kWh前後となることと、特定の30分コマで50円を超えることは別の問題です。

次週の価格スパイク予測

エリア通常時の想定価格帯スパイク発生時の想定
北海道20~35円45~60円
東北20~35円40~55円
東京25~40円45~60円
中部25~40円40~55円

※通常時の想定価格帯は代表的な時間帯の目安であり、全コマがこの範囲に収まるという意味ではありません。スパイク価格は発生を前提とした予測ではなく、需給が逼迫した場合のシナリオです。

北海道では気温低下による暖房需要の増加、東京では平日の需要増加と供給力の変動が重なる場合に、50円/kWhを超える価格が形成される可能性があります。一方、火力発電の供給力が十分に確保され、他エリアからの電力融通が円滑に行われれば、価格スパイクは抑えられる可能性があります。

今週は北海道・東京ともに50.00円/kWhのスパイクが発生しましたが、100円を超えるような極端な価格高騰は確認されませんでした。来週も50円前後のスパイクには注意が必要ですが、現時点で100円を超えるような高騰が常態化すると判断する材料は十分ではありません。

日照時間の減少が11月後半の電力市場に与える影響

11月の電力市場を考えるうえで、見逃せないのが日照時間の減少です。秋から冬にかけては日照時間が短くなり、太陽の高度も低下するため、太陽光発電の発電量が減少しやすくなります。

日中の安値と夕方の高値が変化する可能性

今週は日中平均13.83円/kWhに対し、夕方平均は32.33円/kWhとなりました。このような時間帯別の価格差は、太陽光発電の供給力が日中に集中し、夕方以降に減少することが一因と考えられます。

今後、冬に向けて太陽光発電量が減少すれば、日中の安値が発生しにくくなる可能性があります。一方、晴天時には冬季でも太陽光発電が一定の供給力を持つため、需要が少ない時間帯では引き続き低価格が発生する可能性があります。

特に九州・四国・中国エリアでは、今週も0.01円/kWhの安値が確認されています。太陽光発電の出力が減少する季節に入っても、このような極端な安値が継続するのかは、今後の重要な観測ポイントです。

蓄電池の役割はさらに重要に

日中と夕方の価格差が大きい市場環境では、蓄電池による充放電の経済的価値が高まりやすくなります。日中の安い時間帯に充電し、夕方の高い時間帯に放電することで、価格差を活用できる可能性があるためです。

ただし、実際の採算性は蓄電池の設備費、充放電効率、劣化費用、系統利用に伴う費用などによって異なります。EnergyTrendでは、今後の電力市場を考えるうえで、再生可能エネルギーの導入拡大だけでなく、蓄電池などを活用した需給調整機能の整備も重要になると考えています。

まとめ|東高西低が続く電力市場、次週は暖房需要と価格スパイクに注目

2026年11月第1週のJEPXスポット市場は、週間平均システムプライスが24.05円/kWhとなり、前週から5.5%下落しました。11月2日と5日には日平均30円/kWhを超える高値が発生しましたが、週末にかけて価格は下落し、11月8日には18.45円/kWhとなっています。

一方、全国9エリアの価格を見ると、東京・中部を中心とした東日本側の価格が高く、四国・九州・中国を中心とした西日本側の価格が低い状態が続いています。特に四国エリアは週間平均13.12円/kWhと全国で最も安く、東京エリアとの価格差は16.60円/kWhに達しました。また、東京・北海道では50円/kWhの価格スパイクが発生した一方、西日本では0.01円/kWhという極端な安値も確認されています。

来週11月9日~15日については、週間平均システムプライスを23~27円/kWhと予測しています。北海道・東北では気温低下による暖房需要の増加が見込まれ、東京・中部では平日の需要と太陽光発電の出力変動が価格を左右すると考えられます。

一方、11月に入って原油などの燃料価格が下落していることは、今後の火力発電コストを考えるうえで注目したい動きです。ただし、燃料価格の下落が短期間でJEPXスポット価格に反映されるとは限りません。短期的には気温、太陽光発電の出力、火力発電の供給力、地域間連系線の制約などが引き続き重要になるでしょう。

EnergyTrendでは、次週も同じ指標による定点観測を継続し、特に北海道・東京の価格スパイク、東日本と西日本の価格差、太陽光発電による日中価格への影響を注視していきます。

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出典・引用

▶ 日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の公式ページはこちら
▶ 電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公式ページはこちら
▶ 資源エネルギー庁・出力制御についての公式ページはこちら
▶ 気象庁・週間天気予報の公式ページはこちら

本記事に掲載しているJEPXスポット価格、エリアプライス、時間帯別価格、約定総量などは、日本卸電力取引所が公表する市場データをもとに筆者が独自に集計・整理したものです。価格変動要因については、JEPXの価格形成制度、気象庁の気象データ、資源エネルギー庁のエネルギー関連資料などを踏まえた筆者独自の分析であり、特定の発電設備停止などとの直接的な因果関係を断定するものではありません。また、次週の価格予測は将来の市場価格を保証するものではありません。

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未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

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