2026年9月第3週のJEPX(日本卸電力取引所)スポット市場は、週前半から週末にかけて価格水準が徐々に切り下がる展開となりました。9月15日の日平均22.51円/kWhをピークに、17日は17.07円/kWh、19日は16.84円/kWh、20日には15.59円/kWhまで低下しており、夏場の高需要期から秋の低需要期へ移行する流れが一段と鮮明になっています。
ただし、週間平均システムプライスを見ると18.58円/kWhとなり、前週9月7日~13日の18.21円/kWhから約2.0%上昇しました。一見すると「価格下落」と矛盾するように見えますが、これは東京・中部エリアの価格上昇がシステムプライスを押し上げたためです。実際、東京エリアは前週比10.4%、中部エリアは6.9%上昇する一方、中国、四国、九州では昼間に0.01円/kWhを記録する時間帯もあり、地域による価格差が大きく広がった一週間となりました。
今週を一言で表すなら、「全国平均では横ばいに近いものの、週内では下落し、エリア別では東高西低の二極化が進んだ一週間」といえるでしょう。特にシルバーウィーク入りによる産業用需要の減少が西日本を中心に価格を押し下げる一方、東京・中部では都市部の需要や太陽光発電量の低下などを背景に高い価格が維持されました。
JEPXのスポット市場は翌日に受け渡す電気を取引する一日前市場で、1日を30分単位の48商品に分けて取引しています。本記事ではJEPX公表データをもとに、2026年9月14日~20日の7日間について、週間平均、日別価格、時間帯別価格、エリアプライス、約定総量などを前週と同じ指標で定点観測します。
※本記事に掲載する価格、平均値、前週比、約定総量などは、JEPX公表データをもとに筆者が独自に集計・整理したものです。
- 1 2026年9月第3週のJEPXスポット価格まとめ
- 2 JEPX週間平均は18.58円/kWh|週内では下落傾向
- 3 冷房需要は減少|夏場の需要ピークは越えたか
- 4 日照時間は少なく太陽光発電には逆風
- 5 時間帯別では昼間が下落、夕方は逆に上昇
- 6 エリア別では東京23.51円、中部23.24円へ上昇
- 7 中国・四国・九州では0.01円/kWhを記録
- 8 30円/kWh以上は14コマ|高値スパイクは限定的
- 9 約定総量は約7,369GWh|前週比6.2%減少
- 10 シルバーウィーク入りで産業用需要が減少
- 11 LNGなど発電燃料は引き続き上振れリスク
- 12 筆者の視点|次週9月21日~27日のJEPX価格を予測
- 13 次週も「東高西低」が最大の注目点
- 14 まとめ|JEPXは平均価格以上にエリア二極化へ注目
- 15 出典・引用
2026年9月第3週のJEPXスポット価格まとめ
まず、9月第2週と第3週を比較して、市場全体がどのように変化したのかを確認します。
| 項目 | 9月第2週(9月7日~13日) | 9月第3週(9月14日~20日) | 前週比・増減 |
|---|---|---|---|
| 週間平均システムプライス | 18.21円/kWh | 18.58円/kWh | +2.0% |
| 週間最高価格 | 32.53円/kWh | 33.38円/kWh | +0.85円 |
| 週間最低価格 | 5.00円/kWh | 9.63円/kWh | +4.63円 |
| 最高日平均 | 24.13円/kWh | 22.51円/kWh | ▲1.62円 |
| 最低日平均 | 12.47円/kWh | 15.59円/kWh | +3.12円 |
| 30円/kWh以上 | 14コマ | 14コマ | 変わらず |
| 40円/kWh以上 | 0コマ | 0コマ | 変わらず |
週間平均は前週より2.0%上昇しましたが、最高日平均は24.13円/kWhから22.51円/kWhへ低下しました。また、週前半に20円台前半だった日平均は週末に15円台まで下がっており、週の方向性としては明確に下向きです。
今週はシステムプライスだけを見ると大きな価格変動がなかったようにも見えます。しかしエリアプライスを見ると事情は大きく異なり、東京・中部では20円台前半から後半の価格が続く一方、西日本では0.01円/kWhまで下落する時間帯が発生しました。
これまでのJEPX週間レポートでもエリア間の価格差を確認してきましたが、今週は特に「全国平均だけを見ていては実態が分からない」一週間だったと感じます。
JEPX週間平均は18.58円/kWh|週内では下落傾向
2026年9月14日~20日の週間平均システムプライスは18.58円/kWhとなりました。前週18.21円/kWhからは0.37円/kWh上昇し、前週比では約2.0%の上昇です。
日別では次のように推移しました。
| 日付 | 日平均 | 最低価格 | 最高価格 |
|---|---|---|---|
| 9月14日(月) | 20.17円 | 11.88円 | 33.38円 |
| 9月15日(火) | 22.51円 | 14.12円 | 31.29円 |
| 9月16日(水) | 20.72円 | 13.81円 | 28.77円 |
| 9月17日(木) | 17.07円 | 9.87円 | 28.23円 |
| 9月18日(金) | 17.18円 | 11.52円 | 24.60円 |
| 9月19日(土) | 16.84円 | 10.31円 | 22.51円 |
| 9月20日(日) | 15.59円 | 9.63円 | 25.01円 |
9月15日の22.51円/kWhをピークとして、その後は20.72円、17.07円、17.18円、16.84円、15.59円と徐々に価格水準が低下しました。土日に入って突然下がったというより、木曜日の17日時点ですでに17円台まで低下していることから、週の途中から需要減少が市場価格へ表れていたと考えています。
前週の記事では、9月14~20日の週間平均を16~18円/kWh、中心値を17円前後と予想しました。実績は18.58円/kWhとなり、予想レンジを0.58円上回りました。冷房需要や産業用需要の減少という方向性は想定通りでしたが、東京・中部のエリア価格が想定以上に高く、システムプライスを押し上げたことが予想との差につながりました。
冷房需要は減少|夏場の需要ピークは越えたか
平年比では高温の地域もあるが夏の需要ピークからは低下
今週の価格推移を考えるうえで、まず確認したいのが気温です。気象庁の2026年9月中旬の地域平均を見ると、東日本の平均気温は平年差0.0℃、西日本では+0.9℃となっており、西日本では平年よりやや高い状態が続きました。
つまり、全国的に「急に寒くなった」わけではありません。それでも7月や8月、9月初旬のように全国で猛暑日・真夏日が相次ぐ状況からは明らかに変化しており、家庭、オフィス、商業施設、工場などの冷房負荷は夏場のピークから低下しています。
JEPX価格は気温そのものではなく、その結果として生じる電力需要に反応します。最高気温が多少高くても、朝晩の気温が下がりエアコンを使用する時間が短くなれば、一日の電力需要は夏季より小さくなります。今週後半にシステムプライスが17円台から15円台へ低下した背景には、こうした季節の進行による需要減少があったと筆者はみています。
日照時間は少なく太陽光発電には逆風
需要減少が市場全体を押し下げた
一方、供給側では太陽光発電にとって厳しい気象条件が続きました。気象庁によると、2026年9月中旬の日照時間は東日本で平年比52%、西日本でも68%にとどまりました。関東甲信は46%、東海地方は51%となっており、特に東京・中部エリアでは太陽光発電の発電条件が平年より悪かったと考えられます。
太陽光発電量が低下すると、通常であれば市場への供給量が減るためJEPX価格を押し上げる方向に働きます。東京・中部エリアで今週価格が上昇した背景の一つとして、この日照不足による再生可能エネルギーの供給減少も無視できません。
一方、西日本では太陽光の発電条件が必ずしも良好ではなかったにもかかわらず、非常に低いエリアプライスが発生しています。つまり今週については、太陽光発電量の減少という上昇要因よりも、産業用を中心とする需要の減少や地域ごとの需給状況の違いの方が強く市場価格へ反映されたと考えられます。
時間帯別では昼間が下落、夕方は逆に上昇
時間帯別のシステムプライスを見ると、今週の特徴がさらに分かりやすくなります。
10時~14時の平均システムプライスは前週17.17円/kWhから今週15.45円/kWhへ低下し、前週比では約10.0%下落しました。一方、17時~20時は前週24.92円/kWhから今週25.75円/kWhへ約3.3%上昇しています。
| 時間帯 | 9月第2週 | 9月第3週 | 前週比 |
|---|---|---|---|
| 10時~14時 | 17.17円/kWh | 15.45円/kWh | ▲10.0% |
| 17時~20時 | 24.92円/kWh | 25.75円/kWh | +3.3% |
これは今後の秋のJEPX市場を考えるうえで重要な動きです。昼間は需要が弱く、太陽光発電が一定程度稼働すれば価格が下がりやすい一方、夕方は日の入りが早くなって太陽光発電量が急速に低下します。
さらに家庭の夕方需要は残るため、需給が引き締まりやすくなります。今後は週間平均価格が下がっても、「昼間は非常に安いのに夕方は高い」という一日の価格差が大きくなる可能性があります。
エリア別では東京23.51円、中部23.24円へ上昇
今週最大の特徴がエリアプライスの二極化です。
9エリアの週間平均を前週と比較すると、東京、中部、北海道、東北が上昇した一方、北陸、関西、中国、四国、九州は下落しました。特に東京と中部の価格水準が高く、西日本との差が大きく拡大しています。
| 順位 | エリア | 9月第2週平均 | 9月第3週平均 | 前週比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京 | 21.30円 | 23.51円 | +10.4% |
| 2 | 中部 | 21.73円 | 23.24円 | +6.9% |
| 3 | 東北 | 17.35円 | 17.44円 | +0.5% |
| 4 | 北海道 | 14.53円 | 16.20円 | +11.5% |
| 5 | 北陸 | 17.39円 | 15.89円 | ▲8.6% |
| 6 | 関西 | 16.19円 | 15.80円 | ▲2.4% |
| 7 | 中国 | 15.68円 | 13.47円 | ▲14.1% |
| 8 | 九州 | 14.01円 | 13.03円 | ▲7.0% |
| 9 | 四国 | 12.06円 | 11.61円 | ▲3.7% |
東京は前週21.30円/kWhから23.51円/kWhへ10.4%上昇し、9エリアで最も高くなりました。中部も21.73円/kWhから23.24円/kWhへ6.9%上昇しており、東京と中部だけが23円台となっています。
一方、中国は13.47円/kWh、九州13.03円/kWh、四国11.61円/kWhまで低下しました。東京と四国の差は約11.9円/kWhに達しており、全国市場でありながら地域によって全く異なる価格環境が生じています。
北海道も前週比11.5%上昇していますので、「東京・中部だけが上昇した」というわけではありません。ただし、絶対的な価格水準を見ると東京・中部の23円台が突出しており、今週のシステムプライスを押し上げた主要因として注目する必要があります。
中国・四国・九州では0.01円/kWhを記録
東京・中部の高値と西日本の超低価格が同時発生
今週を象徴するのが、西日本で発生した0.01円/kWhというエリアプライスです。
30分コマで集計すると、中国では0.01円/kWhが2コマ、四国では6コマ、九州では8コマ発生しました。特に9月17日の日中には中国・四国・九州で同時に非常に低い価格が形成され、9月20日にも九州で10時台から13時台にかけて0.01円/kWhが続く時間帯がありました。
| エリア | 0.01円/kWhとなったコマ数 |
|---|---|
| 中国 | 2コマ |
| 四国 | 6コマ |
| 九州 | 8コマ |
興味深いのは、この時間帯にも東京・中部では同じような低価格になっていないことです。例えば東京の日平均は9月15日に27.45円/kWh、中部は9月16日に26.55円/kWhまで上昇しており、西日本とは全く異なる値動きとなりました。
JEPXを見る際には、システムプライスだけでなくエリアプライスを見る必要がある理由がここにあります。今週のシステムプライス最低値は9.63円/kWhであり、システムプライスだけを見ていれば0.01円/kWhという極端な安値は確認できません。
電力市場では地域間の需給状況や連系線の状況によってエリア間に価格差が生じます。今週は、需要の大きい東京・中部では比較的高値が維持される一方、西日本では供給余力が大きくなった時間帯に価格がほぼゼロまで低下するという、二極化が非常に分かりやすく表れました。
30円/kWh以上は14コマ|高値スパイクは限定的
システムプライスで30円/kWh以上となった30分コマは14コマで、前週と同じでした。40円/kWh以上となった時間帯は2週連続でゼロとなっており、8月まで頻繁にみられた大きな価格スパイクは減少しています。
一方、システムプライスの週間最高値は33.38円/kWhで、前週32.53円/kWhからわずかに上昇しました。今のところ全国的な需給ひっ迫によって40円、50円/kWhまで一気に上昇する市場ではなく、特定のエリアや時間帯に価格上昇が集中する傾向が強まっています。
今後も冷房需要が低下していけば、システムプライスの大きなスパイクは発生しにくくなるでしょう。ただし、東京・中部で気温が上昇し、同時に日照不足によって太陽光発電量が低下すれば、一部エリアでは30~40円/kWh台へ急上昇する可能性があります。
約定総量は約7,369GWh|前週比6.2%減少
JEPXスポット市場の週間約定総量は約7,369GWhとなり、前週の約7,856GWhから約6.2%減少しました。
日別では9月14日の約1,135GWhから、15日約1,130GWh、16日約1,100GWh、17日約1,090GWh、18日約1,079GWhと徐々に減少しています。さらにシルバーウィーク入りとなる19日は約943GWh、20日は約892GWhまで低下しました。
| 日付 | 約定総量 |
|---|---|
| 9月14日 | 約1,135GWh |
| 9月15日 | 約1,130GWh |
| 9月16日 | 約1,100GWh |
| 9月17日 | 約1,090GWh |
| 9月18日 | 約1,079GWh |
| 9月19日 | 約943GWh |
| 9月20日 | 約892GWh |
もちろん、JEPXの約定総量は日本全体の電力需要そのものではありませんので、「日本の電力需要が6.2%減少した」という意味ではありません。ただ、スポット市場の取引量が週を追うごとに減り、特に連休入りとともに大きく減少したことは、市場の需給環境を見るうえで参考になる動きです。
9月19日からシルバーウィークが始まり、工場や事業所などで操業を停止・縮小するケースが増えたことも、週末の取引量と市場価格を押し下げた要因の一つと考えています。
シルバーウィーク入りで産業用需要が減少
9月19日から23日まで実質5連休
2026年は9月21日が敬老の日、22日が祝日法による休日、23日が秋分の日となります。土日の19日、20日と合わせると、9月19日から23日まで実質5連休となります。
9月第3週の集計期間には19日と20日の2日間が含まれています。19日の日平均は16.84円/kWh、20日は15.59円/kWhとなっており、約定総量も平日と比較して大きく減少しました。
工場をはじめとする産業用需要は日本の電力需要の大きな部分を占めています。大型連休によって製造業などの稼働率が下がれば、家庭需要が多少増えても市場全体では需要が減少しやすくなります。
次週についても23日までは祝日が続くため、この産業用需要の減少がJEPX価格を押し下げる最大の要因の一つになると予想しています。
LNGなど発電燃料は引き続き上振れリスク
秋の低需要期でも価格が下がり切らない可能性
需要面ではJEPX価格が下がりやすい季節に入りましたが、中長期的な懸念材料として残っているのがLNGや原油などの発電燃料です。
資源エネルギー庁は中東情勢を踏まえたエネルギー供給対策を継続しており、中東地域からの供給に支障が生じた場合には、LNGについて他の供給国やスポット市場からの調達を増加させる対応を示しています。中東情勢が不安定な状態では、実際の供給障害が発生しなくても、国際的な燃料市場にリスクプレミアムが乗りやすくなります。
秋は本来、冷房需要と暖房需要の両方が小さいため、JEPX価格が低下しやすい季節です。しかし、発電燃料の調達コストが高止まりすれば、火力発電の限界費用も下がりにくくなります。
そのため筆者は、2026年秋のJEPXについて「夏よりは安くなるが、過去の秋季と比較すると高めの価格が続く」という見方を維持しています。
発電燃料価格の動向については、当サイトでも継続的に定点観測しています。
筆者の視点|次週9月21日~27日のJEPX価格を予測
週間平均16~19円/kWh、中心は17円台を予想
筆者は、次週となる2026年9月21日~27日の週間平均システムプライスを16~19円/kWh程度と予想します。中心値としては17円台を想定しており、今週の18.58円/kWhからはやや低下するシナリオを基本とします。
ただし、今週と同じように全国一律の市場にはならず、東京・中部と西日本の価格差が大きくなる可能性があります。
| 指標 | 次週予想 |
|---|---|
| 週間平均システムプライス | 16~19円/kWh |
| 中心予想 | 17円台/kWh |
| 9月21~23日 | 14~18円/kWh程度 |
| 9月24~25日 | 17~21円/kWh程度 |
| 9月26~27日 | 13~17円/kWh程度 |
| 東京・中部週間平均 | 22~27円/kWh程度 |
| 西日本週間平均 | 9~15円/kWh程度 |
| 昼間の安値局面 | 0.01~10円/kWh程度 |
| 夕方の高値局面 | 22~30円/kWh程度 |
| 高温時の東京・中部 | 一時30~40円/kWh台 |
次週の市場は、平均価格そのものよりもエリア間の値差に注目したいと考えています。
予想理由① 23日まではシルバーウィークで需要減少
最も大きな価格下落要因は、引き続きシルバーウィークです。
9月21日の敬老の日、22日の休日、23日の秋分の日と3日連続で休日となるため、19日から数えると5連休となります。工場や事業所の操業が通常より少なくなることで、産業用需要は平日より大きく減少する可能性があります。
このため21~23日のシステムプライスは14~18円/kWh程度を中心に推移すると予想しています。特に西日本で晴れ間が広がって太陽光発電量が確保されれば、昼間のエリアプライスが再び1円/kWhを下回り、0.01円/kWh付近まで低下する可能性もあります。
24日以降は平日に戻るため、工場やオフィスなどの需要が回復し、システムプライスも17~21円/kWh程度へ上昇するとみています。
予想理由② 東京・中部は気温次第で価格上昇
一方、次週の上振れ要因として最も警戒しているのが東京・中部です。
今週すでに東京23.51円/kWh、中部23.24円/kWhと他エリアを大きく上回っています。東京や名古屋など人口・産業が集中する都市圏では、一時的に気温が上昇すれば冷房需要が戻りやすく、需要の変化がJEPX価格へ反映されやすい状況です。
秋とはいえ、最高気温30℃以上の真夏日が再び広い範囲で発生すれば、オフィスや商業施設を中心に冷房需要が急増します。そこに曇天による太陽光発電量の低下が重なれば、東京・中部のエリアプライスが30円/kWh台へ上昇する可能性があります。
条件が悪ければ一時的に40円/kWhを超える可能性も想定しておく必要があります。
予想理由③ 日照時間の短縮で夕方価格は下がりにくい
9月下旬になると、夏至の時期と比べて日没時間はかなり早くなります。太陽光発電所が高い出力を維持できる時間が短くなり、17時前後から発電量が急速に減少する時間帯が早まっていきます。
今週すでに17時~20時の平均価格は25.75円/kWhと、前週から3.3%上昇しました。昼間の平均15.45円/kWhとの差は10円/kWhを超えており、秋特有の「昼安・夕高」が表れ始めています。
次週もこの傾向は続くと考えており、昼間には一桁台の価格が頻発する一方、夕方になると20円台後半まで上昇する日が増える可能性があります。
予想理由④ 燃料高が市場価格の下値を支える
最後に、発電燃料価格です。
需要だけを考えれば、シルバーウィーク中のJEPX価格はさらに低下しても不思議ではありません。しかし、LNGや原油などの燃料調達を取り巻く不透明感が続く限り、火力発電の発電原価は価格の下値を支える要因になります。
特に東京・中部のように需要が大きいエリアでは、太陽光やその他の低限界費用電源だけで需要を賄えない時間帯に火力発電の価格が市場価格へ反映されやすくなります。
そのため、全国の週間平均については16~19円/kWh程度まで下がる一方、東京・中部では20円台前半から後半という高めの価格が続く可能性があるとみています。
次週も「東高西低」が最大の注目点
9月第3週は、東京23.51円/kWh、中部23.24円/kWhに対し、四国11.61円/kWhという大きな価格差が生じました。
筆者は次週も、このエリア間の二極化がJEPX市場の最大の注目点になると考えています。23日までは大型連休による需要減少が続くため、西日本では低価格になりやすい一方、東京・中部は気温や天候の条件次第で高い価格が維持される可能性があります。
特に注意したいのは、真夏日が戻った日の夕方です。冷房需要が残っているにもかかわらず太陽光発電が急速に低下すれば、需給が短時間で引き締まり、スポット価格が一気に上昇する可能性があります。
反対に涼しい天候が続き、祝日による需要減少が強く出れば、システムプライスは15円/kWhを下回り、西日本の一部では再び0.01円/kWhが発生する展開も考えられます。
まとめ|JEPXは平均価格以上にエリア二極化へ注目
2026年9月14日~20日のJEPXスポット市場は、週間平均システムプライスが18.58円/kWhとなり、前週18.21円/kWhから2.0%上昇しました。しかし、日別では9月15日の22.51円/kWhをピークに、20日には15.59円/kWhまで低下しており、週内の流れとしては明確な下落傾向となっています。
冷房需要は夏場のピークから低下し、さらに9月19日からシルバーウィークへ入ったことで産業用需要も減少しました。JEPXの週間約定総量も前週比6.2%減の約7,369GWhとなり、特に19日、20日の市場取引量が大きく減っています。
一方、今週最大の特徴はエリア間の二極化です。東京は前週比10.4%上昇の23.51円/kWh、中部も6.9%上昇の23.24円/kWhとなった一方、中国13.47円/kWh、九州13.03円/kWh、四国11.61円/kWhまで低下しました。中国・四国・九州では0.01円/kWhを記録する時間帯もあり、東京・中部の高値と西日本の超低価格が同じ日に発生しています。
次週9月21~27日について、筆者は週間平均システムプライスを16~19円/kWh程度、中心値を17円台と予想します。23日まではシルバーウィークによって産業用需要が低下する一方、24日以降は平日需要が戻るため、週前半と後半で市場環境が変化する可能性があります。
さらに東京・中部では、一時的に真夏日が戻れば冷房需要が再び増加する可能性があります。日照時間の短縮や曇天による太陽光発電量低下、LNGなど発電燃料の調達コスト上昇が重なれば、一部時間帯では30~40円/kWh台へのスパイクも想定しておく必要があります。
逆に西日本では、連休需要の減少と太陽光発電が重なることで、再び0.01円/kWh付近まで低下する可能性があります。今後のJEPXを見るうえでは、全国平均だけではなく、「東京・中部」と「西日本」を分けて見ることがますます重要になりそうです。
EnergyTrendでは今後も週間平均、日別価格、時間帯別価格、9エリアの平均価格、約定総量、高価格・低価格コマ数を同じ基準で定点観測し、日本の卸電力市場の変化を追っていきます。
出典・引用
▶JEPX「スポット市場」の公式ページはこちら
▶JEPX「取引概要」の公式ページはこちら
▶気象庁「日本の地域平均気候表」の公式ページはこちら
▶気象庁「日本の天候の特徴と見通し」の公式ページはこちら
▶気象庁「2週間気温予報」の公式ページはこちら
▶資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」の公式ページはこちら
▶内閣府「国民の祝日について」の公式ページはこちら
※本記事に掲載しているJEPXスポット価格、エリアプライス、時間帯別価格、約定総量などは、日本卸電力取引所が公表する市場データをもとに筆者が独自に集計・整理したものです。端数処理などにより表示値にわずかな差が生じる場合があります。また、市場価格の変動要因および次週の価格予測については、JEPX、気象庁、資源エネルギー庁、内閣府などの公表情報を参考にした筆者独自の分析・見解であり、将来の市場価格を保証するものではありません。