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【2026年8月第5週】JEPXスポット価格|電力市場週間レポート(2026年8月24日~8月30日)

8月後半に入り、JEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場は再び上昇基調が鮮明になりました。市場連動型メニューやJEPX価格を反映する市場価格調整・燃料費等調整の仕組みを採用する新電力を利用している方にとっても、9月以降の電気料金への影響が気になる局面です。

2026年8月24日(月)~8月30日(日)のJEPXスポット市場を集計すると、週間平均システムプライスは22.66円/kWhとなりました。前週の8月17日~23日は20.51円/kWhだったため、1週間で2.15円/kWh、率にして約10.5%上昇しています。さらに、日中10~14時の平均価格は16.57円/kWhから19.79円/kWhへ、夕方17~20時は29.63円/kWhから33.86円/kWhへ上昇しました。30円/kWh以上となった高価格コマも前週の26コマから62コマへ増加し、今週は50円/kWh以上も6コマ発生しています。JEPXではスポット市場のシステムプライス、エリアプライス、約定総量などを30分単位で公開しています。

今回の価格上昇には、週前半を中心とする高温によって冷房需要が強まったことに加え、地域や時間帯によって天候が変化し、太陽光発電による供給力が弱まった局面があったことなど、複数の要因が重なった可能性があります。本記事では前週までと同じ指標を使い、2026年8月第5週の電力市場を定点観測していきます。

※本記事の週間平均、時間帯別平均、エリア別平均、約定総量、高価格コマ数などは、JEPX公表データをもとに筆者が独自集計したものです。

2026年8月第5週のJEPXスポット価格まとめ

まず、前週の第4週と比較して市場がどのように変化したのかを確認します。

項目第4週(8月17日~23日)第5週(8月24日~30日)前週比・増減
週間平均システムプライス20.51円/kWh22.66円/kWh+10.5%
週間最高価格35.53円/kWh50.01円/kWh+14.48円
週間最低価格9.43円/kWh10.22円/kWh+0.79円
10~14時平均16.57円/kWh19.79円/kWh+19.5%
17~20時平均29.63円/kWh33.86円/kWh+14.3%
20円/kWh以上155コマ186コマ+31コマ
30円/kWh以上26コマ62コマ+36コマ
50円/kWh以上0コマ6コマ+6コマ
100円/kWh以上0コマ0コマ変化なし
週間約定総量約88.68億kWh約93.62億kWh+5.6%

前週も週間平均20.51円/kWhと高い水準でしたが、今週はさらに22.66円/kWhまで上昇しました。特に注目したいのは、平均価格だけでなく日中・夕方の双方で価格が上昇し、30円以上のコマ数も2倍以上に増えたことです。

第3週のお盆期間は週間平均12.96円/kWhまで低下しましたが、第4週に20.51円/kWh、第5週には22.66円/kWhまで上昇しました。8月後半のJEPXを見る限り、お盆期間中の低価格は一時的なものだったという見方がより強まっています。

JEPX週間平均は22.66円/kWh|前週から10.5%上昇

8月24日~30日の週間平均システムプライスは22.66円/kWhでした。前週の20.51円/kWhから約10.5%上昇し、8月第2週の20.21円/kWh、第4週の20.51円/kWhも上回っています。

8月の週間推移を見ると、第2週20.21円/kWh、第3週12.96円/kWh、第4週20.51円/kWh、第5週22.66円/kWhとなりました。お盆休みによって一度大きく低下した後、企業活動の再開とともに価格が戻り、さらに今週は一段高い水準へ切り上がった形です。

日別では次のように推移しました。

日付日平均最低価格最高価格
8月24日(月)22.31円16.34円32.99円
8月25日(火)25.18円17.50円47.97円
8月26日(水)25.73円17.11円50.01円
8月27日(木)25.21円18.01円35.01円
8月28日(金)24.27円18.78円33.42円
8月29日(土)19.28円14.00円27.12円
8月30日(日)16.67円10.22円30.01円

週前半から平日にかけて非常に高く、8月25日~28日は4日連続で日平均24円/kWhを超えました。特に26日は日平均25.73円/kWh、最高50.01円/kWhと今週のピークを記録しています。一方、週末になると29日は19.28円、30日は16.67円まで低下しました。

平日5日間の平均は24.54円/kWhだったのに対し、土日の平均は17.97円/kWhです。週末は平日より約26.8%低く、今回も工場・事業所などの稼働状況が市場価格に影響した可能性がうかがえます。

猛暑が続き、冷房需要がJEPX価格を押し上げた可能性

今週の価格上昇を考えるうえで、まず注目したいのが気温です。気象庁が全国914地点を対象に集計しているデータでは、最高気温35℃以上となった猛暑日の地点数が、8月24日は211地点、25日は271地点、26日は246地点に達しました。特に週前半は全国的に厳しい暑さとなっていたことが分かります。

前週も暑い日が続いていましたが、今週は24~26日に猛暑日の地点数が200地点を超え、冷房需要が強まりやすい条件が重なりました。家庭だけでなく、オフィス、商業施設、物流施設、工場などでも空調設備の稼働が増えれば、昼間から夕方にかけて電力需要を押し上げます。

価格の動きもこの傾向と重なっています。8月25日は25.18円/kWh、26日は25.73円/kWhとなり、猛暑日の地点数が多かった週前半にJEPX価格も高くなりました。気温だけでスポット価格が決まるわけではありませんが、今週は冷房需要が価格を押し上げた主要な要因の一つだった可能性が高いと筆者は見ています。

天候変化で太陽光発電の供給が弱まった時間帯も

もう一つ注目したいのが太陽光発電です。夏の日中は太陽光発電量が増えるため、通常は市場価格を押し下げる方向に働きます。しかし、雲や雨が増えて日射量が落ちると太陽光発電量も低下し、その時間帯を火力など別の電源で補う必要が出てきます。

今週は全国一律に日照条件が悪かったわけではありません。むしろ西日本では日照時間が多かった期間も確認されています。一方、東日本では8月25~29日の5日間で日照時間が平年比80%まで低下しており、地域によっては太陽光発電の供給量が弱まった時間帯があった可能性があります。

したがって、今週のJEPX上昇を「太陽光発電所の稼働率低下」だけで説明するのは適切ではありません。筆者としては、猛暑による需要増加を中心に、地域ごとの天候変化による太陽光発電量の変動が重なり、特定の時間帯で需給が締まりやすくなったと考えています。

10~14時平均は19.79円/kWh|日中価格も上昇

前週から継続して確認している時間帯別価格では、日中10~14時の平均が16.57円/kWhから19.79円/kWhへ約19.5%上昇しました。

時間帯第4週第5週前週比
10~14時16.57円/kWh19.79円/kWh+19.5%
17~20時29.63円/kWh33.86円/kWh+14.3%

夏季の日中は太陽光発電が増えるため、市場価格が比較的低くなりやすい時間帯です。それでも今週は日中平均が20円/kWh近くまで上昇しました。これは太陽光による供給があっても、それを吸収するだけの電力需要が存在していたことを示す重要な数字です。

特に今後9月へ入ると、この「日中価格」が一つの重要な観測ポイントになります。気温が下がれば冷房需要も減るため、本来であれば日中価格は低下しやすくなります。逆に9月に入っても日中20円前後の価格が続くようであれば、需要以外の供給側要因についても注意して見る必要があります。

夕方17~20時は33.86円/kWh|さらに高値へ

本レポートで継続的に重視している夕方17~20時の平均価格は33.86円/kWhとなりました。前週の29.63円/kWhから約14.3%上昇し、30円台が平均となっています。

日中10~14時の19.79円/kWhと比べると、その差は約14.07円/kWhです。夕方になると太陽光発電量が急速に低下する一方、気温が高い日は家庭や店舗、オフィスなどの冷房需要がまだ残ります。その不足分を火力などの調整可能な電源で補うため、夕方価格が高くなりやすい市場構造が今週も鮮明に表れました。

今後9月へ入ると日の入りが徐々に早くなり、太陽光発電の出力が低下し始める時間帯も早まります。気温が順調に下がれば問題になりにくいものの、真夏日が続いて冷房需要だけが高止まりすると、「太陽光発電の減少」と「冷房需要」が重なる夕方の需給がこれまで以上に重要になってきます。

50円/kWh以上が6コマ発生|8月26日は要注意の動き

今週は高価格コマにも変化がありました。前週は30円/kWh以上が26コマ、50円/kWh以上は0コマでしたが、今週は30円以上が62コマ、50円以上が6コマまで増加しました。

特に8月26日は、16時から19時にかけて50円/kWh前後の価格が6コマ連続して発生し、週間最高価格は50.01円/kWhとなりました。100円/kWh以上の極端な価格スパイクはありませんでしたが、これまでの「30円台中心」から、一部時間帯で50円台へ価格帯が切り上がった点は見逃せません。

現段階で異常な需給逼迫と判断する状況ではありませんが、今後も50円以上のコマが散発的に増えるのか、それとも8月26日だけの一時的な動きだったのかを確認する必要があります。週間平均だけでは見えない市場の緊張度を把握する意味でも、高価格コマ数は9月以降も追跡したい指標です。

エリア別では中部25.13円、北陸24.58円、関西24.39円

エリア別では、西日本・中部を中心に上昇が目立ちました。

順位エリア第4週平均第5週平均前週比
1中部22.90円25.13円+9.7%
2北陸22.19円24.58円+10.8%
3関西20.09円24.39円+21.4%
4東京22.01円23.56円+7.1%
5中国18.37円21.84円+18.9%
6四国17.65円21.45円+21.5%
7九州17.99円19.81円+10.1%
8東北17.54円17.41円▲0.7%
9北海道17.47円14.63円▲16.3%

最も高かったのは中部の25.13円/kWhで、北陸24.58円、関西24.39円、東京23.56円と続きました。特に関西は前週比21.4%、四国は21.5%上昇しており、西日本の価格上昇が目立っています。

一方で北海道は前週比16.3%低下、東北もほぼ横ばいでした。全国平均だけを見ると価格上昇ですが、地域によって状況が大きく異なることが分かります。9月に入っても中部・関西・中国・四国などが高い状態を維持するのか、それとも全国的に価格差が縮小するのかは重要な観測ポイントです。

約定総量は約93.62億kWh|前週から5.6%増加

8月24日~30日の週間約定総量は約93.62億kWhとなり、前週の約88.68億kWhから約5.6%増加しました。第3週のお盆期間は約75.69億kWhまで低下していたため、お盆前後で市場取引量が明確に回復しています。

もちろんJEPX約定量は、日本全国の電力需要そのものではありません。相対契約や自社電源など市場を経由しない電力も存在します。しかし、毎週同じ条件で追跡すると、市場で取引される電力量の強弱を見る材料になります。

第3週から第5週にかけて約定量が増加し、それと同時にスポット価格も12.96円/kWhから22.66円/kWhまで上昇しました。8月後半については、需要の強さが市場価格にも表れている可能性があります。

8月31日受渡分も22円台|9月入り前から高値継続

次週を予測するうえで注目したいのが、すでに約定している8月31日受渡分です。システムプライスの日平均は22.10円/kWhとなり、今週平均の22.66円/kWhと近い高水準が続いています。

さらに10~14時平均は20.98円/kWh、17~20時平均は33.78円/kWhで、30円/kWh以上も10コマ発生しています。8月31日1日だけで次週全体を判断することはできませんが、少なくとも「8月末を境にJEPX価格が急速に低下する」という動きにはなっていません。

このことからも、9月第1週については価格の高止まりを基本シナリオとして考えておく必要がありそうです。

9月以降は「発電所点検」と「太陽光の時間帯」にも注目

9月以降の市場を見るうえでは、夏とは少し違った視点も必要になります。春や秋のような電力需要が比較的低い端境期は、発電設備の補修や定期点検が実施されやすい時期です。資源エネルギー庁の資料でも、従来、需要の低い春秋に発電設備の定期検査や補修が行われてきた例が示されています。

すべての発電所が9月から一斉に点検へ入るわけではありませんが、夏季の高需要期を終えた設備が順次停止する時期に入れば、供給力を押し下げる要因となる可能性があります。通常であれば9月は気温低下とともに電力需要も下がるため問題になりにくいのですが、2026年は高温が長引く可能性があります。

加えて、9月へ進むほど日の入りが早まり、太陽光発電が十分な出力を維持できる時間も徐々に短くなります。「夏と同じ冷房需要が残っているのに、太陽光の供給時間は短くなり、発電設備の点検も増える」という条件が重なると、夕方を中心に需給バランスが締まりやすくなる可能性があります。

次週のJEPX価格予測|西日本を中心に高止まりか

次週の8月31日~9月6日について、筆者はJEPXスポット価格が大きく下落せず、高値圏を維持する可能性があると見ています。

気象庁が8月27日に発表した1か月予報では、東日本・西日本で今後1か月程度は気温の高い状態が続く見通しが示されています。また8月25日発表の3か月予報でも、全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温は高い予想となっています。暦の上では9月に入っても、電力需要の面では必ずしも「夏が終わる」とは限りません。

特に西日本で真夏日が続けば、関西、中国、四国、九州を中心に冷房需要が高止まりする可能性があります。一方、晴天が増えれば日中は太陽光発電が価格を抑えるため、週間平均が一方向に上昇するとは限りません。筆者が特に注目するのは、日中よりも17~20時の夕方価格です。

需給逼迫を基本シナリオにはしないが、9月は条件変化に注意

価格が高いからといって、ただちに電力不足を意味するわけではありません。資源エネルギー庁が公表した8月31日~9月4日の電力需給見通しでは、追加起動可能な電源などの余力を考慮すれば、全エリアで8%以上の予備率を確保できる見通しです。

また、2026年度夏季についても、経済産業省は全エリアで安定供給に最低限必要とされる予備率3%を確保できるとしており、節電要請は実施していません。一方で、異常気象や発電所の休廃止、国際情勢などを踏まえ、電力需給は予断を許さないともしています。

したがって次週の基本シナリオは、「供給力不足による異常高騰」ではなく、「高温による需要が残るため市場価格が高止まりする」という状態です。ただし9月に入り発電設備の点検停止が増え、太陽光発電の供給時間が短くなる中で、想定以上の高温や発電所の計画外停止が重なれば、一部時間帯の価格が大きく上振れする可能性はあります。

まとめ|JEPXは22.66円/kWhへ上昇、9月も高値継続に注意

2026年8月24日~30日のJEPXスポット市場は、週間平均システムプライスが22.66円/kWhとなり、前週の20.51円/kWhから約10.5%上昇しました。日中10~14時平均は19.79円/kWh、夕方17~20時平均は33.86円/kWhとなり、30円/kWh以上は62コマ、50円/kWh以上も6コマ発生しています。

週間約定総量も約88.68億kWhから約93.62億kWhへ5.6%増加しました。週前半を中心に猛暑となった地点が多く、冷房需要が強まったことが価格を押し上げた可能性があります。また、地域や時間帯による天候変化によって太陽光発電量が低下した局面も、市場価格を押し上げる一因になったと考えられます。

そして次週から9月に入ります。本来であれば夏のピーク需要が徐々に落ち着く時期ですが、2026年は東日本・西日本を中心に高温が続く見通しです。そこへ発電所の点検・補修による供給力の変化や、日の入りが早まることで太陽光発電の供給時間が短くなる季節要因が加わります。

気温が下がって冷房需要も減ればJEPX価格は落ち着く可能性があります。しかし、真夏日が続いて需要が高いまま供給側の条件だけが夏から秋へ変化した場合、特に夕方の需給バランスが締まり、30円・50円を超えるコマが再び増える可能性があります。8月31日受渡分も平均22.10円/kWh、夕方17~20時は33.78円/kWhとなっているため、少なくとも9月入り直後は高値圏が続く可能性を想定しておきたいところです。

本レポートでは今後も、週間平均価格、10~14時の日中価格、17~20時の夕方価格、30円・50円・100円以上のコマ数、エリアプライス、週間約定総量、気温・天候・電力需給を同じ基準で定点観測します。9月以降はこれらに加え、発電設備の停止状況や太陽光発電の時間帯変化にも注目しながら、日本の卸電力市場で何が起きているのかを継続的に分析していきます。

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出典・引用

JEPX「スポット市場」の公式ページはこちら
JEPX「取引概要」の公式ページはこちら
気象庁「真夏日などの地点数」の公式ページはこちら
気象庁「季節予報」の公式ページはこちら
気象庁「2週間気温予報」の公式ページはこちら
資源エネルギー庁「電力需給対策」の公式ページはこちら
経済産業省「2026年度夏季の電力需給対策」の公式ページはこちら
資源エネルギー庁「8月31日~9月4日の電力需給見通し」の公式資料はこちら

※本記事のJEPX価格・約定量はJEPX公表データを筆者が独自集計したものです。端数処理によりJEPXの表示値等とわずかな差が生じる場合があります。また、価格変動要因および次週の見通しは、JEPX、気象庁、経済産業省・資源エネルギー庁の公表情報をもとにした筆者の分析・見解であり、将来の市場価格を保証するものではありません。

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