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再エネ賦課金のゆくえは?2024年の再エネ賦課金単価を大胆予想!

電気料金の仕組みはどうなっているの?

私達が普段使っている電気ですが、支払っている電気代がどのような仕組みになっているかご存じですか?多くの方は紙の検針票やクレジットカード明細で請求金額だけ見て、「高くなった」「安くなった」と思うでしょうが、内訳まで見ている方は少ないと思います。私も電気業界に入るまでは、内訳を見たことはありませんでした。しかし、興味を持って見てみると非常に奥が深く面白いです。是非、これを機会に、皆さんにも是非知っておいて欲しいと思いますので、詳しく解説してゆきます。

まず電気料金を大きく分けると、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金の4つに分けることができます。これは基本的には特別高圧・高圧電力・低圧電力・電灯契約全てに共通するものです。(稀に基本料金0円メニューを展開している新電力もあります。)

  • 基本料金
    契約容量/契約電力によって決まり、毎月一定額が課金されています。
  • 電力量料金
    電力会社と契約している電力量単価に使用電力量(kWh)を掛け合わせて課金されます。市場連動型メニューにおける市場調達料金や需給管理費などはここに含まれる場合があります。
  • 燃料費調整額
    略して「燃調費」と呼ばれることがあります。燃料費の変動に応じて燃料費調整単価が加算あるいは減額される仕組みになっています。燃料費調整単価に使用電力量(kWh)を掛け合わせて課金されます。
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金
    一般的に「再エネ賦課金」と略して呼ばれることがあります。経済産業省が決定した単価で全需要家が一律に使用電力量(kWh)に応じて課金されます。再エネ賦課金は電気を使用している限り、どこの電力会社に切り替えたとしても逃れることはできません。そもそも再エネ賦課金とは何なのか?どのように価格決定されているのか?今回はこのような再エネ賦課金について解説してゆきます。

再エネ賦課金とは?

2012年よりスタートした制度で、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)によって、電力会社により一定価格で買い取られた費用の一部を、電気を使用するすべての人が負担することによって賄われている制度です。負担額は平等に設定されており、特別高圧・高圧の大口需要家から一般家庭まで使用量に応じて一律単価で課金されます。簡単に言い換えますと、日本の再生可能エネルギー普及のための費用を企業から個人まで電気を使う人はみんなで平等に負担しましょうという制度なのです。この再エネ賦課金制度があったからこそ、ここまで太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーが普及してきたとも言えます。

再エネ賦課金はいくら支払っているの?

再エネ賦課金の概要は前述の通りですが、次に私達が一体いくら支払っているのかを見てみましょう。2023年度の再エネ賦課金単価は1.40円/kWhです。例として毎月350kWhの電気を使っている家庭があれば、いくらになるでしょうか?

1.40円×350kWhで490円/月×12ヶ月となり、年間約6,000円になります。

一般家庭であればこのような金額なのですが、例えば月間500,000kWh使用する高圧需要家であれば、年間で840万円にもなり、企業にとっては見過ごすことのできない経費なのです。

500,000kWh×1.40円×12ヶ月で年間840万円になります。

実はこの再エネ賦課金は、毎年5月から単価が改定されます。2023年度は1.40円でしたが、これまでどのような価格推移であったかを見てみましょう。
再エネ賦課金が開始した2012年は0.22円/kWhでした。それが再エネの普及に比例して右肩上がりに上昇を続け、2022年には3.45円に達しました。毎月350kWhを利用する家庭であれば、3.45円×350kWh×12ヶ月で年間約15,000円です。ここまで上昇すれば家庭としても大きな負担感がありますね。
2022年から2023年にかけてもさらに上昇すると思われていましたが、突如1.40円に大幅減額となりました。再エネ賦課金が減額になったのは、2012年以来初めてのことで、10年前の価格水準に逆戻りしました。これには業界関係者からも驚きの声がありました。なぜ急に安くなったのでしょうか?

再エネ賦課金単価の決め方

再エネ賦課金単価は、年間にどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを予測し、経済産業大臣が毎年度決めています。例年、3月に経済産業省で発表され、5月検針分から適用されます。再エネ賦課金単価はこのような計算式で求めます。

(計算式)
賦課金単価=(買取費用等-回避可能費用等+広域的運営推進期間事務費)÷販売電力量

それでは2022年度と2023年度を見てみましょう。

2022年度想定2023年度想定主な要因
①買取費用等4兆2,033億円4兆7,477億円・2023年度から新たに運転開始する再エネ発電設備
・再エネ予測誤差のための調整力確保費用
②回避可能費用等1兆4,609億円3兆6,353億円・過去の市場価格の実績を踏まえて、
市場価格に連動する回避可能費用単価を推計
・2021年度末の剰余金の充当
③販売電力量7,943億kWh7,946億kWh・過去の販売電力量の実績を元に販売電力量を推計 ※
※減免費用のうち賦課金負担となる分の電力量を控除

回避可能費用とは?

固定価格買取制度が適用される発電された電力を買い取ることにより、電気事業者が発電を免れた費用のこと。簡単に言い換えると本来なら火力発電や水力発電で発電しないといけなかった電力を、再生可能エネルギーからの発電で調達できたから、その分が浮いた費用のことです。この回避可能費用は2016年4月の小売全面自由化以降、日本卸電力取引所の市場価格を用いて計算されることになりました。このことからも市場価格が上昇すれば、回避可能費用も上昇する構図になっています。

2022年度から2023年度にかけて買取費用は113%、回避可能費用は249%、販売電力量は100%(横ばい)でしたので、再エネ賦課金単価は大きく下がることになったのです。再生可能エネルギーがまだまだ伸びてゆくとはいえ、急激な増加はありませんので、再エネ賦課金単価の増減を握っているのは、市場価格であることは間違いないでしょう。

参考 経済産業省 2023年度の賦課金単価を設定

2024年度の再エネ賦課金大胆予想!

2023年度は市場価格の上昇によって回避可能費用が上がり、その結果として賦課金単価が下がったことが分かりました。それでは、2024年の再エネ賦課金はいくらになるのか?勝手に大胆予想してみましょう。とはいえ、開示されていない算定期間や項目も多いので、あくまで推測です。

  • 買取費用は再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 情報公表用ウェブサイトの買取金額を元に算出
  • 回避可能費用は日本卸電力取引所(JEPX)の回避可能原価(円/kWh)を元に算出
  • 販売電力量は資源エネルギー庁 電力調査統計表を元に算出
  • 広域的運営推進期間事務費は前年と同額

2023年度想定2024年度予想数値
①買取費用等4兆7,477億円5兆800億円
②回避可能費用等3兆6,353億円1兆9,336億円
③販売電力量7,946億kWh8,130億kWh
2024年度 再エネ賦課金単価予想

さぁ、これを計算式に当てはめてみましょう。

(5兆800億円-1兆9,336億円+9億円)÷8,130億kWh=3.87円/kWh

衝撃的な数字になりました。2022年度が3.45円、2023年度が1.40円、2024年度が3.87円だとすると2023年度比で2.76倍になります。
例として毎月350kWhの電気を使っている家庭があれば、いくらになるでしょうか?
3.87円×350kWhで約1,350円/月となり、年間約16,000円にも膨れ上がります。これが現実になれば2023年度が安かっただけに目に見える負担感が出るのではないでしょうか。

2024年3月20日 追記
2024年度の賦課金単価は1kWh当たり3.49円となりました。目安として一ヶ月の電力使用量が400kWhの需要家モデル※の負担額を見ると、月額1,396円、年額16,752円となります。

出典 経済産業省発表(2024年3月19日)

まとめ

今回は2024年の再エネ賦課金単価の大胆予想をしてみました。正確なシミュレーションができたかどうかは分かりませんが、市場価格が対前年比で大きく下落したのは事実です。1.40円から上昇するのは間違いないでしょう。3月の発表までもう少し時間がありますが、覚悟して待ったほうがよさそうです。

(免責事項)
2024年度の再エネ賦課金単価予想は、あくまで個人的な見解による予想です。その結果に責任を負うものではありません。

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