新電力ランキング(2025年8月供給実績) TOP100

2025年8月供給実績ランキング（2025年12月5日発表）

2025年8月分の新電力各社における電力供給実績データが、2025年12月5日付で資源エネルギー庁より公表されました。

本記事では、最新の公式データをもとに、新電力ランキング（小売電気事業者ランキング）を総合供給量ベースで整理するとともに、特別高圧・高圧・低圧といった需要区分別に供給動向や順位変動を詳しく分析します。
特に、夏季ピークを経た8月実績は、法人需要・家庭用需要の強弱や、事業者ごとの供給戦略の違いが色濃く表れるタイミングであり、市場構造を読み解くうえで重要な指標となります。本稿では以下の4つのランキングについて、TOP100事業者を対象に、前月からの増減や注目すべき変化を整理していきます。

• 総合供給量ランキング
• 特別高圧ランキング
• 高圧ランキング
• 低圧ランキング

新電力各社の供給量シェアの変化や、需要区分別のトレンドを把握することで、電力市場全体の動きや、電力会社選びを考えるための材料としてご活用ください。

総合供給実績TOP100

2025年8月時点で供給実績のある全国の小売電気事業者は 525社登録されています。本ページでは、その中から 特別高圧・高圧・低圧のすべてを合算した「総合供給実績」上位100社（TOP100） をランキング形式でご紹介します。

上位5社の動向（2025年7月→8月）

1位：東京ガス株式会社
実績：1,313,448 → 1,579,437（前月比：+20.3%）
低圧（家庭用）を中心とした夏場の冷房需要を着実に取り込み、供給量は大幅に拡大。都市ガスとのセット提案や既存顧客基盤の強さが引き続き優位に働き、特別高圧・高圧分野でも堅調な伸びを確保。総合首位のポジションを盤石なものとした。

2位：株式会社エネット
実績：980,368 → 954,849（前月比：▲2.6%）
前月比ではやや減少となったものの、依然として総合2位を維持。高圧・特別高圧の大口需要家を中心とした安定的な供給基盤は健在で、季節要因による一時的な調整局面と見られる。需給環境次第では再び増勢に転じる余地も大きい。

3位：大阪瓦斯株式会社
実績：683,626 → 920,930（前月比：+34.7%）
関西圏を中心に需要が急拡大し、前月から大きくジャンプアップ。家庭用低圧の増加に加え、法人向け高圧・特別高圧でも供給量を積み増したことが順位上昇の要因。夏場需要を的確に捉えた形で、存在感を一段と高めた。

4位：丸紅新電力株式会社
実績：795,854 → 813,388（前月比：+2.2%）
前月比では緩やかな増加にとどまったものの、安定した供給量を維持。大口法人需要を中心としたポートフォリオの強さが下支えとなり、順位は4位を確保。急拡大よりも安定運営を重視する姿勢が表れた月となった。

5位：ENEOS Power株式会社
実績：637,949 → 686,972（前月比：+7.7%）
低圧・高圧の双方で着実に供給量を伸ばし、堅調な増加を記録。ENEOSブランドの信頼性を背景に、法人・家庭向けともに安定した契約獲得が続いている。上位4社との差は依然あるものの、安定成長型の推移が際立つ。

総合実績ランキング全体の傾向（2025年8月）

2025年8月の総合実績ランキングでは、東京ガスを筆頭に、大手電力会社系および大手小売事業者が引き続き上位を占める結果となった。これらの事業者は、長年にわたり築いてきた販売チャネルや顧客基盤を背景に、家庭用から法人向けまで幅広い需要を安定的に取り込める体制を維持しており、市場環境が変動する中でも供給量を確保できる強みを持つ。

加えて、8月は年間でも電力需要が最も高まる時期にあたり、冷房使用の増加が全体の供給実績を押し上げた。特に家庭用低圧分野では、猛暑による使用量増加がそのまま実績拡大につながり、既存顧客を多く抱える大手事業者ほど恩恵を受けやすい構図となった。さらに、高圧・特別高圧を含む法人需要においても、価格競争力や需給調整力を備えた事業者が安定した供給を維持し、結果として上位陣の実績が底上げされる形となっている。

特別高圧TOP100

2025年8月時点で、特別高圧電力の供給実績がある新電力会社152社 の中から、供給量に基づいて 上位100社を厳選し、ランキング形式でご紹介 します。

「特別高圧」とは、供給電圧20,000V以上・契約電力2,000kW以上 の大口電力契約を指し、主に 工場、大規模商業施設、産業インフラ など高い電力需要を持つ事業所で利用される電力メニューです。

特別高圧　上位5社の供給量比較（2025年7月 → 2025年8月）

• 1位 エネット：348,077 → 318,350（▲29,727 / ▲8.5%）
• 2位 丸紅新電力：254,108 → 258,226（+4,118 / +1.6%）
• 3位 CDエナジーダイレクト：247,810 → 230,223（▲17,587 / ▲7.1%）
• 4位 サミットエナジー：112,970 → 103,217（▲9,753 / ▲8.6%）
• 5位 東京ガス：111,025 → 100,504（▲10,521 / ▲9.5%）

特別高圧 供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• イーレックス：6,917 → 17,954（+11,037 / +159.5%）
• 大阪瓦斯：47,140 → 52,151（+5,011 / +10.6%）
• 丸紅新電力：254,108 → 258,226（+4,118 / +1.6%）
• TGオクトパスエナジー：5,711 → 7,670（+1,959 / +34.3%）
• JNCパワー：20,969 → 22,450（+1,481 / +7.1%）

特別高圧 供給量の減少が目立った主な事業者（上位）

• 日鉄エンジニアリング：66,494 → 17,820（▲48,674 / ▲73.2%）
• エネット：348,077 → 318,350（▲29,727 / ▲8.5%）
• CDエナジーダイレクト：247,810 → 230,223（▲17,587 / ▲7.1%）
• ENEOS Power：89,307 → 69,989（▲19,318 / ▲21.6%）
• 東京ガス：111,025 → 100,504（▲10,521 / ▲9.5%）
• サミットエナジー：112,970 → 103,217（▲9,753 / ▲8.6%）
• 関電エネルギーソリューション：58,491 → 52,332（▲6,159 / ▲10.5%）
• ＭＣリテールエナジー：33,454 → 28,197（▲5,257 / ▲15.7%）

特別高圧ランキング　新規ランクイン

• 株式会社Looop
• 株式会社岡崎さくら電力

特別高圧ランキング　ランク外へ

• 株式会社日本海水
• 株式会社タクマエナジー
• 森の電力株式会社

高圧電力TOP100

2025年8月時点で、高圧電力の供給実績が確認された新電力会社446社 の中から、供給量の多い 上位100社をランキング形式 で掲載しています。

「高圧電力」とは、供給電圧6,000V以上・契約電力50kW超〜2,000kW以下 に区分される契約形態で、主に オフィスビル、病院、中小規模の工場や商業施設 といった法人需要家に多く利用されています。

高圧電力 上位5社の供給量比較（2025年7月 → 2025年8月）

• エネット：583,618 → 579,220（-4,398 / -0.8%）
• 丸紅新電力：532,524 → 544,596（+12,072 / +2.3%）
• 日本テクノ：499,865 → 485,012（-14,853 / -3.0%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：420,668 → 417,443（-3,225 / -0.8%）
• U-POWER：322,012 → 318,118（-3,894 / -1.2%）

高圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• 九電ネクスト：+30,993（242,034 → 273,027、+12.8%）
• 丸紅新電力：+12,072（532,524 → 544,596、+2.3%）
• ハルエネ：+6,876（171,477 → 178,353、+4.0%）
• CDエナジーダイレクト：+6,959（193,464 → 200,423、+3.6%）
• しろくま電力：+5,205（131,524 → 136,729、+4.0%）

高圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 関電エネルギーソリューション：▲17,629（136,152 → 118,523、▲12.9%）
• 日本テクノ：▲14,853（499,865 → 485,012、▲3.0%）
• コスモエネルギーソリューションズ：▲6,333（80,530 → 74,197、▲7.9%）
• 新出光：▲5,601（87,398 → 81,797、▲6.4%）
• 大和ハウス工業：▲4,553（83,339 → 78,786、▲5.5%）
• エネット：▲4,398（583,618 → 579,220、▲0.8%）
• U-POWER：▲3,894（322,012 → 318,118、▲1.2%）
• ＦＰＳ：▲3,480（81,996 → 78,516、▲4.2%）

高圧電力ランキング　8月新規ランクイン

• 株式会社 JTBコミュニケーションデザイン
• 株式会社タケエイでんき

高圧電力ランキング　8月にランク外となった事業者

• シン・エナジー株式会社
• 株式会社やまがた新電力

低圧電力TOP100

2025年8月時点で、低圧電力を供給している新電力会社は全国で426社 にのぼり、家庭・飲食店・小規模オフィスなど、幅広い利用者が自分に合った電力会社を自由に選べる環境が整っています。

低圧電力 とは、供給電圧200V以下・契約電力50kW以下の契約区分を指し、主に 一般家庭や小規模事業者 を対象とした電力メニューです。用途に応じて、照明や家電向けの 「電灯契約」 と、業務用機器やエアコン・厨房設備などを稼働させる 「動力契約」 の2種類に分けられています。

低圧電力　上位5社の供給量比較（単位：1,000kWh）

• 東京ガス：1,161,784 → 1,436,084（+274,300 / +23.6%）
• 大阪瓦斯：611,383 → 844,743（+233,360 / +38.2%）
• SBパワー：444,544 → 577,033（+132,489 / +29.8%）
• auエネルギー&ライフ：345,915 → 427,843（+81,928 / +23.7%）
• ENEOS Power：307,926 → 379,255（+71,329 / +23.2%）

低圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• 東京ガス：+274,300（1,161,784 → 1,436,084、+23.6%）
• 大阪瓦斯：+233,360（611,383 → 844,743、+38.2%）
• SBパワー：+132,489（444,544 → 577,033、+29.8%）
• 住友商事：+79,120（294,830 → 373,950、+26.8%）
• NTTアノードエナジー：+93,710（261,732 → 355,442、+35.8%）
• 株式会社ハルエネ：+67,277（298,081 → 365,358、+22.6%）
• auエネルギー&ライフ：+81,928（345,915 → 427,843、+23.7%）
• ENEOS Power：+71,329（307,926 → 379,255、+23.2%）

低圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 出光興産：55,068 → 52,132（▲2,936 / ▲5.3%）
• 長崎地域電力：7,892 → 7,145（▲747 / ▲9.5%）
• アストモスエネルギー：15,132 → 14,869（▲263 / ▲1.7%）

低圧電力ランキング　8月新規ランクイン

• 株式会社日本瓦斯（東京）

低圧電力ランキング　8月にランク外となった事業者

• シン・エナジー株式会社
• 株式会社ジェイコム札幌
• 株式会社グローアップ

まとめ

2026年8月の新電力ランキングでは、総合供給量において東京ガスが首位を維持し、エネット、大阪ガス、丸紅新電力、ENEOS Powerといった大手が上位を固める展開となりました。需要区分別に見ると、特別高圧・高圧は法人需要の比重が高い領域であり、エネットが特別高圧・高圧ともに1位となるなど、産業・業務用の供給基盤を持つ事業者が強さを発揮しています。加えて、丸紅新電力や日本テクノ、ミツウロコグリーンエネルギー、U-POWERなども上位を維持しており、価格競争だけでなく調達力や提案力、契約継続を支える運用体制の差が供給量に反映された月だったと言えます。

一方の低圧では、夏季の生活需要の増加を背景に、東京ガス（1位）・大阪ガス（2位）を中心に供給量が大きく伸長しました。さらに、SBパワー、auエネルギー&ライフ、ENEOS Power、住友商事、ハルエネ、NTTアノードエナジーなども供給量を積み上げ、上位層の厚みが増しています。低圧市場では、ガス・通信・ポイント等を組み合わせたセット訴求や既存顧客基盤を生かしたクロスセルが強みとなりやすく、都市ガス系・通信系・大手資本系が上位を占める傾向がより鮮明になりました。また、ランキングの入れ替わりも確認され、8月は日本瓦斯（東京）が新規ランクインする一方、シン・エナジー、ジェイコム札幌、グローアップがランク外となるなど、低圧では販路や施策の差が順位に反映されやすい状況が続いています。

本ランキングは、電気料金の高い・安いといった単純比較ではなく、各社が実際にどれだけの需要家に選ばれ、供給を担っているかという「実績ベース」の指標です。供給量を伸ばしている事業者は、価格面に加えて、ブランド信頼、サービス設計、サポート体制、継続性といった面でも支持を積み上げている可能性が高いと言えます。電力会社を選ぶ際は、料金シミュレーションやキャンペーンだけでなく、こうした「利用実績として選ばれ続けている企業かどうか」もあわせて確認し、納得感のある乗り換え・継続判断に役立ててください。

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