新電力ランキング(2025年7月供給実績) TOP100

2025年7月供給実績ランキング（2025年11月4日発表）

2025年7月分の電力供給実績データが、2025年11月4日付で資源エネルギー庁より公表されました。

本稿では、各小売電気事業者の総合供給量ランキングに加え、特別高圧・高圧・低圧といった需要区分ごとの動向や順位変動に焦点を当て、足元で進む市場トレンドを整理します。

総合ランキングを概観すると、第1位は東京ガスとなり、上位10社には大手電力グループを中心としながらも、一部では新興系プレイヤーの存在感も見られます。前月比の動きに目を向けると、家庭向けなどの低圧分野では伸びが鈍る一方、法人需要を支える高圧・特別高圧分野では競争がさらに激しさを増していることが読み取れます。

以下では、

• 総合供給量ランキング
• 特別高圧ランキング
• 高圧ランキング
• 低圧ランキング

それぞれのTOP100について、主要な変動ポイントとあわせて整理していきます。

総合供給実績TOP100

2025年7月時点で供給実績のある全国の小売電気事業者は 521社登録されています。本ページでは、その中から 特別高圧・高圧・低圧のすべてを合算した「総合供給実績」上位100社（TOP100） をランキング形式でご紹介します。

上位5社の動向（2025年6月→7月）

1位：東京ガス株式会社
実績：942,425 → 1,313,448（前月比：+39.4%）
家庭用低圧を中心に契約が堅調。6月末からの冷房需要増加を確実に取り込み、加えて法人の特別高圧・高圧でも価格競争に対して強い提案力を維持。トップのポジションをさらに強固にする拡大型の伸びとなった。

2位：株式会社エネット
実績：819,172 → 980,368（前月比：+19.7%）
主力は法人需要（工場・ビル・施設）向けの特別高圧・高圧需要。電力価格の変動が続く中で、安定した成長を確保。大口需要家セグメントでの強みが改めて発揮された。

3位：丸紅新電力株式会社
実績：795,854　前月比：（6月値非掲載のため算出不可）
法人向けを中心とした供給規模が大きい。7月時点で総合3位に浮上する存在感は、市場での安定供給体制と営業基盤の広さを示す。

4位：大阪瓦斯株式会社
実績：444,698 → 683,626（前月比：+53.7%）
関西圏の家庭用・業務用でのブランド力が引き続き強く、電力・ガスセット提案が拡大に寄与。夏季需要に向けた低圧シェア回復が目立ち、前年対比でも攻勢の色合いが強まっている。

5位：ENEOS Power株式会社
実績：495,565 → 637,949（前月比：+28.7%）
産業・法人向け（特別高圧・高圧）の供給が引き続き中心。燃料調達力を背景にした競争力ある料金メニューで大口需要家を着実に獲得。電源調達コストの安定性が、夏場の供給拡大にうまく作用したとみられる。

総合実績ランキング全体の傾向（2025年7月）

上位には東京ガス・大阪ガス・エネット・丸紅新電力・ENEOS Powerといった、「電源調達力 × 法人向け営業基盤 × セット販売」を強みに持つ事業者が並んだ。
7月は冷房需要の本格化と法人需要の回復が重なった時期であり、調達余力と供給体制に優位性を持つ大手がシェアを着実に伸ばした形となる。
その結果、市場全体では上位事業者への集約がさらに進み、寡占化の傾向が一段と強まっている。

特別高圧TOP100

2025年7月時点で、特別高圧電力の供給実績がある新電力会社152社 の中から、供給量に基づいて 上位100社を厳選し、ランキング形式でご紹介 します。

「特別高圧」とは、供給電圧20,000V以上・契約電力2,000kW以上 の大口電力契約を指し、主に 工場、大規模商業施設、産業インフラ など高い電力需要を持つ事業所で利用される電力メニューです。

特別高圧　上位5社の供給量比較

• 1位 エネット：308,285 → 348,077 （+39,792 / +12.9%）
• 2位 丸紅新電力：（6月値非掲載） → 254,108 （前月比算出不可）
• 3位 CDエナジーダイレクト：（6月値非掲載） → 247,810 （前月比算出不可）
• 4位 サミットエナジー：96,632 → 112,970 （+16,338 / +16.9%）
• 5位 東京ガス：101,512 → 111,025 （+9,513 / +9.4%）

特別高圧 供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• エネット：308,285 → 348,077 （+39,792 / +12.9%）
• サミットエナジー：96,632 → 112,970 （+16,338 / +16.9%）
• U-POWER：67,148 → 79,775 （+12,627 / +18.8%）
• ゼロワットパワー：60,079 → 67,299 （+7,220 / +12.0%）
• 九電ネクスト：57,506 → 64,167 （+6,661 / +11.6%）
• ENEOS Power：79,005 → 89,307 （+10,302 / +13.0%）
• 東京ガス：101,512 → 111,025 （+9,513 / +9.4%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：42,792 → 49,607 （+6,815 / +15.9%）
• 株式会社ＦＰＳ：45,484 → 48,601 （+3,117 / +6.9%）
• デジタルグリッド：39,493 → 41,889 （+2,396 / +6.1%）

特別高圧 供給量の減少が目立った主な事業者（上位）

• 日鉄エンジニアリング：93,737 → 66,494 （▲27,243 / ▲29.1%）
• イーレックス：13,564 → 6,917 （▲6,647 / ▲49.0%）
• JNCパワー：27,562 → 20,969 （▲6,593 / ▲23.9%）
• 出光興産：33,830 → 30,190 （▲3,640 / ▲10.8%）
• グローバルエンジニアリング：83,715 → 79,906 （▲3,809 / ▲4.5%）
• MGCエネルギー：13,780 → 11,812 （▲1,968 / ▲14.3%）
• ダイヤモンドパワー：18,881 → 17,402 （▲1,479 / ▲7.8%）
• UPDATER：12,699 → 11,408 （▲1,291 / ▲10.2%）
• エフビットコミュニケーションズ：2,355 → 1,844 （▲511 / ▲21.7%）
• リミックスポイント：2,128 → 1,719 （▲409 / ▲19.2%）

特別高圧ランキング　新規ランクイン

• 丸紅新電力株式会社
• 株式会社CDエナジーダイレクト
• TOPPANホールディングス株式会社
• 伊藤忠商事株式会社
• MUFGトレーディング株式会社
• MCPD株式会社
• ヒューリックエナジーソリューション株式会社
• 株式会社おおた電力

特別高圧ランキング　ランク外へ

• ゆきぐに新電力株式会社
• シナネン株式会社
• 青森県民エナジー株式会社
• 株式会社岡崎さくら電力

高圧電力TOP100

2025年7月時点で、高圧電力の供給実績が確認された新電力会社445社 の中から、供給量の多い 上位100社をランキング形式 で掲載しています。

「高圧電力」とは、供給電圧6,000V以上・契約電力50kW超〜2,000kW以下 に区分される契約形態で、主に オフィスビル、病院、中小規模の工場や商業施設 といった法人需要家に多く利用されています。

高圧電力 上位5社の供給量比較（2025年6月 → 2025年7月）

• エネット：474,427 → 583,618（+109,191 / +23.0%）
• 日本テクノ：402,025 → 499,865（+97,840 / +24.3%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：335,578 → 420,668（+85,090 / +25.4%）
• U-POWER：247,659 → 322,012（+74,353 / +30.0%）

※丸紅新電力（532,524 / 7月2位）は、6月実績が今回のデータに未掲載のため比較対象外。

高圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• エネット：+109,191（474,427 → 583,618、+23.0%）
• 日本テクノ：+97,840（402,025 → 499,865、+24.3%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：+85,090（335,578 → 420,668、+25.4%）
• U-POWER：+74,353（247,659 → 322,012、+30.0%）
• ENEOS Power：+46,250（194,466 → 240,716、+23.8%）
• 九電ネクスト：+46,175（195,859 → 242,034、+23.6%）
• エバーグリーン・マーケティング：+44,576（161,735 → 206,311、+27.6%）
• ハルエネ：+38,022（133,455 → 171,477、+28.5%）
• デジタルグリッド：+31,729（148,124 → 179,853、+21.4%）
• エナリス・パワー・マーケティング：+30,474（96,076 → 126,550、+31.7%）
• しろくま電力：+27,593（103,931 → 131,524、+26.5%）
• サミットエナジー：+26,892（87,333 → 114,225、+30.8%）
• HTBエナジー：+23,825（60,107 → 83,932、+39.6%）
• シン・エナジー：+15,140（37,525 → 52,665、+40.4%）

高圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 関電エネルギーソリューション：▲24,661（160,813 → 136,152、▲15.3%）

高圧電力ランキング　7月新規ランクイン

• 丸紅新電力株式会社
• 株式会社CDエナジーダイレクト
• 青森県民エナジー株式会社
• 株式会社ファミリーネット・ジャパン
• 日本エネルギーファーム株式会社
• 株式会社やまがた新電力

高圧電力ランキング　7月にランク外となった事業者

• 六本木エネルギーサービス株式会社
• 株式会社タケエイでんき
• ワタミエナジー株式会社

低圧電力TOP100

2025年7月時点で、低圧電力を供給している新電力会社は全国で416社 にのぼり、家庭・飲食店・小規模オフィスなど、幅広い利用者が自分に合った電力会社を自由に選べる環境が整っています。

低圧電力 とは、供給電圧200V以下・契約電力50kW以下の契約区分を指し、主に 一般家庭や小規模事業者 を対象とした電力メニューです。用途に応じて、照明や家電向けの 「電灯契約」 と、業務用機器やエアコン・厨房設備などを稼働させる 「動力契約」 の2種類に分けられています。

低圧電力　上位5社の供給量比較（単位：1,000kWh）

• 東京ガス：806,578 → 1,161,784（+355,206 / +44.0%）
• 大阪ガス：376,399 → 611,383（+234,984 / +62.4%）
• SBパワー：302,500 → 444,544（+142,044 / +47.0%）
• auエネルギー&ライフ：240,411 → 345,915（+105,504 / +43.9%）
• ENEOS Power：222,094 → 307,926（+85,832 / +38.6%）

低圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• 東京ガス：+355,206（806,578 → 1,161,784、+44.0%）
• 大阪ガス：+234,984（376,399 → 611,383、+62.4%）
• SBパワー：+142,044（302,500 → 444,544、+47.0%）
• auエネルギー&ライフ：+105,504（240,411 → 345,915、+43.9%）
• 東邦ガス：+92,810（176,074 → 268,884、+52.7%）
• NTTアノードエナジー：+90,291（171,441 → 261,732、+52.6%）
• 住友商事：+88,883（205,947 → 294,830、+43.2%）
• ハルエネ：+86,658（211,423 → 298,081、+41.0%）
• ENEOS Power：+85,832（222,094 → 307,926、+38.6%）
• 楽天モバイル：+28,248（71,899 → 100,147、+39.3%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：+31,869（85,098 → 116,967、+37.5%）
• Looop：+29,740（72,205 → 101,945、+41.2%）

低圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 日本瓦斯株式会社：96,340 → 8,203（▲88,137 / ▲91.5%）

低圧電力ランキング　7月新規ランクイン

• 株式会社CDエナジーダイレクト
  丸紅新電力株式会社
  株式会社グローアップ
  北日本エネルギーホールディングス株式会社

低圧電力ランキング　7月にランク外となった事業者

• 北日本石油株式会社
• レジル株式会社
• 株式会社ルーク

まとめ

7月の新電力ランキングでは、総合供給量において引き続き大手事業者が優位性を維持する一方、特別高圧・高圧といった法人向け需要が夏季負荷の増大を背景に大きく伸びたことが特徴的でした。特に、工場やオフィス、商業施設を中心とした契約更新が活発化し、エネルギーマネジメント提案を強みとする企業ほど、供給量を確実に積み上げる結果となりました。

一方の低圧では、家庭・小規模店舗の電力使用が増える季節要因に乗じて、東京ガスや大阪ガス、SBパワー、auエネルギー&ライフなど、既存顧客基盤を有する事業者が堅調に供給量を拡大しました。また、ENEOS Power、ミツウロコグリーンエネルギー、Looop などの新興・中堅事業者も存在感を高めており、販促チャネルやブランド接点の強さが競争優位につながる構図がより明確になっています。

本ランキングは、電気料金の高い・安いといった単純な指標ではなく、各社が実際にどれだけの需要家から選ばれ、供給を担っているかという「実際の利用実績」に基づいています。
供給量が増加している企業は、価格面のみならず、サービスやサポート、信頼性といった面で支持を獲得しているといえます。電力会社を選択される際は、契約プランや料金比較だけでなく、こうした「選ばれ続けている企業」であるかどうかも、ぜひひとつの判断材料としてご活用ください。

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