新電力ランキング(2025年6月供給実績) TOP100

2025年6月供給実績ランキング（2025年10月10日発表）

2025年6月分の電力供給実績データが、2025年10月10日に資源エネルギー庁より公表されました。

本稿では、各小売電気事業者（新電力含む）の総合供給量ランキング上位をはじめ、特別高圧・高圧・低圧別の動向や順位変動にも注目し、その背景トレンドを分析していきます。

まず総合ランキングの概要を押さえると、第1位には 東京ガスがおり、上位10社には従来の大手電力系企業の他、新興勢力も顔を出す構図が見られます。前月比での増減傾向を見ると、低圧部門の伸び悩みと、法人需要を支える高圧・特別高圧部門での競争激化が顕著となっています。
それでは総合ランキング・特別高圧ランキング・高圧ランキング・低圧ランキングのTOP100を整理してご紹介します。

総合供給実績TOP100

2025年6月時点で供給実績のある全国の小売電気事業者は 513社登録されています。本ページでは、その中から 特別高圧・高圧・低圧のすべてを合算した「総合供給実績」上位100社（TOP100） をランキング形式でご紹介します。

上位5社の動向（2025年5月→6月）

• 1位：東京ガス株式会社
  実績：875,317 → 942,425（前月比 +7.7%）
  東京ガスは引き続きトップを維持。特に低圧部門の一般家庭向け契約の増加が顕著で、6月は冷房需要の立ち上がりによる電力需要増加をしっかり取り込んだ形となりました。
  
• 2位：株式会社エネット
  実績：725,648 → 819,172（前月比 +12.9%）
  エネットは大口法人を中心に供給量をさらに拡大し、前月比で最も高い伸び率を記録しました。
  
• 3位：ENEOS Power株式会社
  実績：460,406 → 495,565（前月比 +7.6%）
  ENEOS Powerは3位に上昇。前月の5位から2ランクアップし、上位陣に返り咲きました。
  
• 4位：ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
  実績：417,988 → 463,468（前月比 +10.9%）
  ミツウロコは前月7位から4位へ急上昇。
  
• 5位：大阪瓦斯株式会社（Daigas）
  実績：494,248 → 444,698（前月比 −10.0%）
  大阪ガスは順位を4位から5位に後退。

総合実績ランキング全体の傾向（2025年6月）

2025年6月は、全体的に供給量が増加傾向となりました。
総合上位100社の合計供給量は、前月比でおよそ 7〜8％の増加。特に上位20社の伸びが顕著で、梅雨明け前の冷房需要の立ち上がりに加え、法人部門での契約更新・新規導入が活発化したことが要因とみられます。
再エネ由来電力や市場連動型メニューの導入拡大も進み、電力市場の流動性がさらに高まっています。

特別高圧TOP100

2025年6月時点で、特別高圧電力の供給実績がある新電力会社151社 の中から、供給量に基づいて 上位100社を厳選し、ランキング形式でご紹介 します。

「特別高圧」とは、供給電圧20,000V以上・契約電力2,000kW以上 の大口電力契約を指し、主に 工場、大規模商業施設、産業インフラ など高い電力需要を持つ事業所で利用される電力メニューです。

特別高圧　上位5社の供給量比較

• 1位 エネット：282,494 → 308,285（+25,791 / +9.1％）
• 2位 東京ガス：89,199 → 101,512（+12,313 / +13.8％）
• 3位 サミットエナジー：84,520 → 96,632（+12,112 / +14.3％）
• 4位 日鉄エンジニアリング：41,765 → 93,737（+51,972 / +124.4％）
• 5位 グローバルエンジニアリング：84,567 → 83,715（−852 / −1.0％）

特別高圧 供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• 日鉄エンジニアリング：41,765 → 93,737（+51,972 / +124.4%）
• エネット：282,494 → 308,285（+25,791 / +9.1%）
• コスモエネルギーソリューションズ：7,623 → 25,699（+18,076 / +237.2%）
• 東京ガス：89,199 → 101,512（+12,313 / +13.8%）
• サミットエナジー：84,520 → 96,632（+12,112 / +14.3%）
• 九電ネクスト：49,852 → 57,506（+7,654 / +15.3%）
• U-POWER：59,437 → 67,148（+7,711 / +13.0%）
• ＦＰＳ：39,432 → 45,484（+6,052 / +15.3%）
• ＭＣリテールエナジー：24,062 → 29,081（+5,019 / +20.9%）
• ゼロワットパワー：54,602 → 60,079（+5,477 / +10.0%）

特別高圧 供給量の減少が目立った主な事業者（上位）

• CDエナジーダイレクト：207,032 → ー（※100位圏外）
• グローバルエンジニアリング：84,567 → 83,715（▲852 / ▲1.0%）
• 大阪ガス：48,743 → 47,545（▲1,198 / ▲2.5%）
• 旭化成：33,872 → 28,742（▲5,130 / ▲15.1%）
• 香川電力：24,146 → 5,951（▲18,195 / ▲75.4%）
• 電源開発（J-POWER）：35,625 → 35,520（▲105 / ▲0.3%）
• エバーグリーン・マーケティング：35,345 → 34,864（▲481 / ▲1.4%）

特別高圧ランキング　新規ランクイン

株式会社 新出光
青森県民エナジー株式会社
シナネン株式会社
ヒューリックエナジーソリューション株式会社
株式会社岡崎さくら電力

特別高圧ランキング　ランク外へ

株式会社CDエナジーダイレクト
丸紅新電力株式会社
株式会社おおた電力
カナデビア株式会社
穂の国とよはし電力株式会社

高圧電力TOP100

2025年6月時点で、高圧電力の供給実績が確認された新電力会社440社 の中から、供給量の多い 上位100社をランキング形式 で掲載しています。

「高圧電力」とは、供給電圧6,000V以上・契約電力50kW超〜2,000kW以下 に区分される契約形態で、主に オフィスビル、病院、中小規模の工場や商業施設 といった法人需要家に多く利用されています。

高圧電力 上位5社の供給量比較（2025年5月 → 2025年6月）

• エネット：406,667 → 474,427（+67,760 / +16.7%）
• 日本テクノ：344,520 → 402,025（+57,505 / +16.7%）
• ミツウロコグリーンエネルギー：289,573 → 335,578（+46,005 / +15.9%）
• U-POWER：209,448 → 247,659（+38,211 / +18.2%）
• 九電ネクスト：176,924 → 195,859（+18,935 / +10.7%）

高圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• HTBエナジー：+12,154（47,953 → 60,107、+25.3%）
• オリックス：+8,119（37,068 → 45,187、+21.9%）
• シン・エナジー：+6,527（30,998 → 37,525、+21.1%）
• ハルエネ：+22,499（110,956 → 133,455、+20.3%）
• サミットエナジー：+14,364（72,969 → 87,333、+19.7%）
• エバーグリーン・マーケティング：+26,157（135,578 → 161,735、+19.3%）
• 北陸電力ビズ・エナジーソリューション：+6,989（38,337 → 45,326、+18.2%）
• U-POWER：+38,211（209,448 → 247,659、+18.2%）
• リコージャパン：+6,981（39,131 → 46,112、+17.8%）
• バンプーパワートレーディング：+13,501（77,523 → 91,024、+17.4%）

高圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 関電エネルギーソリューション：▲12,011（172,824 → 160,813、▲7.0%）

高圧電力ランキング　6月新規ランクイン

• 株式会社 新出光
• シナネン株式会社
• ヒューリックエナジーソリューション株式会社
• 株式会社タクマエナジー
• ワタミエナジー株式会社

高圧電力ランキング　6月にランク外となった事業者

• 丸紅新電力株式会社
• 株式会社CDエナジーダイレクト

低圧電力TOP100

2025年6月時点で、低圧電力を供給している新電力会社は全国で414社 にのぼり、家庭・飲食店・小規模オフィスなど、幅広い利用者が自分に合った電力会社を自由に選べる環境が整っています。

低圧電力 とは、供給電圧200V以下・契約電力50kW以下の契約区分を指し、主に 一般家庭や小規模事業者 を対象とした電力メニューです。用途に応じて、照明や家電向けの 「電灯契約」 と、業務用機器やエアコン・厨房設備などを稼働させる 「動力契約」 の2種類に分けられています。

低圧電力　上位5社の供給量比較（単位：1,000kWh）

• 東京ガス：756,324 → 806,578（+50,254 / +6.6%）
• 大阪ガス：427,029 → 376,399（−50,630 / −11.9%）
• SBパワー：314,516 → 302,500（−12,016 / −3.8%）
• auエネルギー＆ライフ：260,567 → 240,411（−20,156 / −7.7%）
• ENEOS Power：216,443 → 222,094（+5,651 / +2.6%）

低圧電力　供給量の増加が大きかった主な事業者（上位）

• シン・エナジー：+20,844（47,640 → 68,484、+43.8%）
• Q.ENESTでんき：+7,513（21,526 → 29,039、+34.9%）
• 出光興産：+11,095（34,627 → 45,722、+32.0%）
• Japan電力：+6,172（26,723 → 32,895、+23.1%）
• 株式会社PinT：+14,824（68,222 → 83,046、+21.7%）
• 株式会社オプテージ：+8,738（43,069 → 51,807、+20.3%）
• 東邦ガス：+36,752（139,322 → 176,074、+26.4%）
• 東京ガス：+50,254（756,324 → 806,578、+6.6%）
• ENEOS Power：+5,651（216,443 → 222,094、+2.6%）
• TGオクトパスエナジー：+1,185（58,143 → 59,328、+2.0%）

低圧電力　供給量の減少が目立った事業者

• 株式会社エネワンでんき：68,853 → 63,708（−5,145 / −7.5%）
• 株式会社ストエネ：62,411 → 57,821（−4,590 / −7.4%）
• auエネルギー＆ライフ：260,567 → 240,411（−20,156 / −7.7%）
• 大阪ガス：427,029 → 376,399（−50,630 / −11.9%）
• SBパワー：314,516 → 302,500（−12,016 / −3.8%）
• 株式会社Looop：75,275 → 72,205（−3,070 / −4.1%）
• 楽天モバイル株式会社：73,827 → 71,899（−1,928 / −2.6%）
• 大和ハウス工業株式会社：65,443 → 64,156（−1,287 / −2.0%）
• 株式会社エネット：36,487 → 36,460（−27 / −0.1%）

低圧電力ランキング　6月新規ランクイン

• シナネン株式会社
• テレ・マーカーグループ株式会社
• 株式会社 新出光
• 株式会社エネアーク関東
• 株式会社ルーク

低圧電力ランキング　6月にランク外となった事業者

• 丸紅新電力株式会社
• 株式会社CDエナジーダイレクト
• Ｔ＆Ｔエナジー株式会社
• コープ電力株式会社
• ホームタウンエナジー

まとめ

6月の新電力ランキングは、総合実績および法人向け（高圧・特別高圧）が軒並み増加し、需給拡大が鮮明でした。一方の低圧は二極化し、東京ガスや東邦ガスなどの大手事業者が堅調に伸長。シン・エナジーやQ.ENESTでんきなど新興勢力の台頭も目立ち、ランキングの新規IN／OUTが相次いだことで、各社の熾烈な競争環境がよりいっそう浮き彫りになりました。

このランキングは電気料金の高い・安いではなく、各社の供給量に基づいて作成されています。
しかしながら、供給量の増加は、使用量の増加以外にも、すなわちエンドユーザーから選ばれている証であり、価格面やサービス面で実際に支持を集めていることを意味します。電力会社を選ぶ際の客観的な指標・参考情報として、ぜひ本ランキングをご活用ください。

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