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【2025年最新】7月~9月の電気・ガス代が安くなる!「電気・ガス料金支援制度」徹底解説

電気・ガス料金支援 2025年夏に再開決定!

2025年(令和7年)4月22日、石破内閣総理大臣は記者会見の中で、急激な物価高騰や夏季の電力需要の増加に備え、電気・ガス料金支援制度を再び実施すると発表しました。この支援措置は、7月から9月までの3か月間にわたり、家庭や事業者の負担軽減を目的とした定額の料金引き下げを行うものです。

この背景には、米国による新たな関税措置の影響や、世界的なエネルギー市場の不安定化があり、政府としても物価高に対応する緊急措置が必要と判断されました。特に夏場は冷房使用などによる電力需要が急増する時期であり、多くの家庭にとって電気代の高騰は大きな負担となります。

2025年(令和7年)5月27日、経済産業省は物価高騰とエネルギー価格の上昇を受け、燃料油価格の定額引き下げ支援および電気・ガス料金の支援制度を正式に発表しました。これは、国民生活の負担を和らげるための緊急対策であり、特にエネルギーコストの上昇が続く中で、大きな注目を集めています。

巷ではこの政策をバラマキや選挙対策としての政治利用だという論調がありますが、企業や家計にとっても正直なところ、ありがたいと思う人は多いのではないでしょうか。

電気・ガス料金支援の内容とは?

補助の実施期間は2025年7月使用分から9月使用分の3ヶ月間になります。

2025年7・9月使用分からの割引金額

  • 低圧2.0円/kWh
  • 高圧1.0円/kWh

※特別高圧の需要家は対象外

2025年8月使用分からの割引金額

  • 低圧2.4円/kWh
  • 高圧1.2円/kWh


引用:経済産業省 資源エネルギー庁

参考として、昨年2024年8月~10月に実施された「酷暑乗り切り緊急支援」の支援単価は以下の通りです。

  • 8月 低圧 4.0円/kWh 高圧 2.0円/kWh
  • 9月 低圧 4.0円/kWh 高圧 2.0円/kWh
  • 10月 低圧 2.5円/kWh 高圧 1.3円/kWh

2025年の電気・ガス料金支援制度は、前年と比較すると支援額がやや縮小された内容となっています。特に2024年8・9月に実施された電気料金の割引(低圧:4.0円/kWh)と比べると、2025年の7〜9月は2.0〜2.4円/kWhと、支援水準が下がっているのがわかります。

一方で、この支援制度の財源は国の税金で賄われており、限られた予算の中で実施されていることを考えると、ある程度の縮小は現実的な判断とも言えます。厳しい財政状況の中で、生活インフラを守るための最低限の支援策が継続されている点は、評価すべきでしょう。

もちろん、「昨年よりお得感がない」と感じる方も多いかもしれませんが、支援そのものが継続されていることに意味があると捉え、制度の趣旨を理解しながら活用していくことが求められます。

どれくらい安くなるのでしょうか?

では、2025年夏の電気料金支援制度によって、実際にどの程度電気代が安くなるのかを具体的に見ていきましょう。今回は代表的な4つのケースに分けて、支援額の目安を算出してみます。

1人暮らしの単身世帯、家族で暮らすファミリー世帯、日中に電力を多く使用する小規模商店(低圧契約)、そして大量の電力を消費する工場などの高圧契約ユーザーの4パターンを取り上げ、各月ごとの電気料金支援額のシミュレーションを通して、どれくらいの節約が見込めるのかを解説します。

これらのケースを把握することで、「自分の場合はいくら安くなるのか?」という疑問に対する具体的なイメージを持つことができ、支援制度をより効果的に活用するヒントになります。

単身世帯

具体的な例として毎月150kWhの電気を使っている単身世帯の場合を見てみましょう。
2025年8月 2.0円×150kWhで300円/月の割引
2025年9月 2.4円×150kWhで360円/月の割引
2025年10月 2.0円×150kWhで300円/月の割引
2025年11月 割引無し

3カ月間合計 960円の割引になります。

ファミリー世帯

具体的な例として毎月350kWhの電気を使っているファミリー世帯の場合を見てみましょう。
2025年8月 2.0円×350kWhで700円/月の割引
2025年9月 2.4円×350kWhで840円/月の割引
2025年10月 2.0円×350kWhで700円/月の割引
2025年11月 割引無し

3カ月間合計 2,240円の割引になります。

小規模店舗(低圧契約)

具体的な例として毎月1,000kWhの電気を使っている小規模店舗の場合を見てみましょう。
2025年8月 2.0円×1,000kWhで2,000円/月の割引
2025年9月 2.4円×1,000kWhで2,400円/月の割引
2025年10月 2.0円×1,000kWhで2,000円/月の割引
2025年11月 割引無し

3カ月間合計 6,400円の割引になります。

工場(高圧契約)

具体的な例として毎月100,000kWhの電気を使っている工場の場合を見てみましょう。
2025年8月 1.0円×100,000kWhで100,000円/月の割引
2025年9月 1.2円×100,000kWhで120,000円/月の割引
2025年10月 1.0円×100,000kWhで100,000円/月の割引
2025年11月 割引無し

3カ月間合計 320,000円の割引になります。

参考までに

2025年の電気・ガス料金支援制度において都市ガスは家庭及び年間契約量1,000万㎥未満の企業等が対象に2025年7月使用分・9月使用分は8.0円/㎥の割引が実施され、8月は10.0円/㎥の割引となります。月間40㎥使用している家庭であれば、3ヶ月間で1,040円の割引となります。

電気料金支援の割引はどうやって適用されるの?|申し込み不要で自動適用!

今回の電気料金支援制度では、国が小売電気事業者(電力会社)に対して割引分を補填し、各電力会社が利用者(需要家)に対して自動的に割引を適用する仕組みとなっています。つまり、利用者側での申請や手続きは一切不要。使用量に応じた割引が、毎月の電気料金にそのまま反映されます。また、割引額はすべての小売電気事業者で共通です。これは、大手電力会社(旧一般電気事業者)でも、新電力(PPS)でも変わりなく適用されるため、どこの電力会社を契約していても安心して支援を受けられます。

ただし、電力会社によって請求書への記載方法には違いがある点には注意が必要です。たとえば、「政府支援」や「燃料費調整額からの減額」「需給管理手数料の割引」といった形で表示される場合があり、明記の方法は各社ごとに異なります。

さらに、割引対象となるのは「8月使用分」のように電力の利用月単位で適用されるため、実際に割引額を請求書で確認できるのは9月や10月以降となるケースが一般的です。支援の反映タイミングにタイムラグがある点も、あらかじめ理解しておきましょう。

電気料金をもっと安くするには?節電の限界と「電力会社の見直し」という選択

2025年夏の電気料金支援制度により、政府からの補助で一時的に電気料金が軽減されるのは、家計にとって大変ありがたいことです。しかし、物価上昇が続く現在の経済状況では、「もう少し電気代を抑えられないか」と感じる方も多いのではないでしょうか。

よく「節電をしましょう」と呼びかけられますが、実は多くの家庭ではすでに十分な節電努力がなされています。事実、1世帯あたりの電力使用量は2005年をピークに年々減少傾向にあります(出典:日本の消費電力統計)。つまり、これ以上の節電は、言うなれば乾いた雑巾をさらに絞るようなもの。無理に節約しても生活の質が下がってしまいかねません。

では、どうすれば無理なく電気料金を下げることができるのか?
その答えはズバリ、「電力会社を切り替えること」です。

現在、日本では電力自由化により、多くの小売電気事業者が価格競争を行っています。JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格も、2023年の高騰期を過ぎて現在は比較的安定した水準に落ち着いており、料金単価が安いプランも多数登場しています。

これまで電力会社を切り替えたことがないという方も、この機会に料金プランや供給条件を見直してみることを強くおすすめします。切り替え自体はオンラインで簡単に手続き可能で、面倒な工事も不要。電力会社を変えるだけで、電気料金をさらに数千円単位で削減できる可能性もあります。今まで電力の切り替えをしたことが無いという方も、この機会に是非検討してみてはどうでしょうか?

まとめ|電気料金は今後も上がる?持続的な節約には“自衛”がカギ

コロナ禍以降の厳しいインフレ環境のなか、収入が思うように伸びず、光熱費などの支出だけが増え続けている――そんな状況に悩む方は多いのではないでしょうか。私自身もその一人です。

特に問題となっているのが、エネルギー価格の上昇がいつまで続くのか見通しが立たないことです。節電や我慢だけでは根本的な解決にはなりません。日本はLNG(液化天然ガス)・石油・石炭など多くのエネルギーを海外から輸入しており、円安の影響が価格に直結します。今後も大幅な利上げが難しい日本においては、エネルギー価格の高止まりが長期化する可能性は高いと言えるでしょう。

国からの支援制度もありがたい存在ですが、財源には限界があり、将来的には税金という形で負担が跳ね返ってくるリスクもあります。だからこそ、今こそ重要なのが、個人レベルでできる対策を講じることです。

たとえば、戸建て住宅に住んでいる場合は「自家消費型太陽光発電」や「家庭用蓄電池」などを導入し、電力の自給自足を進めることで、電気料金の削減効果は大きくなります。電力会社に依存するだけでなく、自らの消費エネルギーを見直すことで、将来の価格変動に強い家計構造をつくることが可能です。

今後も続くであろうエネルギーコスト上昇の時代を乗り切るために、今こそ「電気料金の見直し」「電力会社の比較」「再生可能エネルギーの活用」など、長期的な視点での備えが不可欠です。是非、皆さんも一度考えてみて下さい。


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未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

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