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徹底調査!新電力ランキング(2023年11月供給実績)

新電力の供給実績ランキング

皆さんは、自分が契約している電力会社が、実際にどのくらいの電力を供給しているかを意識したことがあるでしょうか?私自身、この業界に携わるようになるまでは、正直言ってまったく気にしたことがありませんでした。毎月の電気料金がいくらになるか、どんな料金プランがあるのか、という視点ばかりで、電力会社そのものの実力や信頼性まで考えることはなかったのです。

しかし、再生可能エネルギーの普及や電力自由化の流れの中で、新電力(旧一般電気事業者ではない電力会社)を選ぶ方が増えた現在、そうした「見えにくい実績」が実はとても重要な判断材料になることに気付きました。

たとえば、大手の電力会社(旧一般電気事業者)であれば、すでに地域独占の時代から広範囲に電力を安定供給してきた実績があります。そのため、利用者は特に不安を感じることなく契約している場合が多いでしょう。

一方、新電力会社は、企業ごとに規模も体制も異なります。電源構成、調達力、供給エリア、契約件数、過去のトラブルの有無など、会社によって差が大きいため、どの会社を選ぶかによって安心感や満足度が左右されることも少なくありません。特に停電時の対応や、需給逼迫時の安定供給体制などは、実績がものを言う場面です。

そこで、今回は「どの新電力会社がどれだけの供給実績を持っているのか?」を可視化するため、経済産業省の公表データなどをもとに、新電力各社の供給電力量を比較し、ランキング形式で整理しました。このランキングを見ることで、自分が契約している電力会社がどの程度の規模で運営されているのか、他の会社と比べてどのような位置づけにあるのかを知ることができます。これは単なる興味だけでなく、将来の契約継続や乗り換えを考えるうえでも重要な判断材料になるはずです。

ぜひ一度、このランキングを参考にしながら、ご自身が契約している電力会社の「実力」を確認してみてください。単に料金の安さだけでなく、「安心して電気を使えるかどうか」を見極めるヒントになるはずです。

総合実績TOP50

今回は、全国の新電力会社の中から、供給実績の総合ランキングTOP50社をご紹介します。ここでいう「総合実績」とは、特別高圧(大規模施設向け)、高圧(企業や商業施設向け)、そして低圧(主に家庭用)のすべての電力供給実績を合算したものです。つまり、どれだけ幅広く、どれだけ多くの電気を実際にユーザーに届けているかを示す、電力会社の「実力」を評価する重要な指標となります。

ランキングの対象は、供給実績がある514社の電力会社。その中から、特に供給実績が高かった上位50社をピックアップしました。このランキングを見ることで、電気料金の安さだけでなく、「どの電力会社がどれだけ信頼され、実際に選ばれているのか」を知ることができます。特に新電力を検討している方や、すでに新電力を利用している方にとっては、電力会社の選定・見直しの参考になるはずです。

順位小売事業者名総合実績
(単位:1,000kWh)
1東京ガス株式会社805,337
2株式会社エネット655,764
3大阪瓦斯株式会社449,532
4ENEOS株式会社441,218
5SBパワー株式会社360,670
6丸紅新電力株式会社299,364
7auエネルギー&ライフ株式会社298,181
8ミツウロコグリーンエネルギー株式会社297,766
9株式会社CDエナジーダイレクト268,940
10日本テクノ株式会社253,471
11株式会社関電エネルギーソリューション222,635
12株式会社ハルエネ219,130
13東邦ガス株式会社180,022
14九電みらいエナジー株式会社159,520
15株式会社U-POWER145,308
16大和ハウス工業株式会社131,431
17NTTアノードエナジー株式会社128,138
18楽天エナジー株式会社108,448
19出光興産株式会社102,331
20エバーグリーン・マーケティング株式会社88,109
21シナネン株式会社87,489
22ゼロワットパワー株式会社86,482
23デジタルグリッド株式会社85,373
24株式会社エネワンでんき76,388
25株式会社グローバルエンジニアリング74,275
26株式会社FPS73,791
27株式会社PinT71,878
28サミットエナジー株式会社70,856
29北海道瓦斯株式会社67,886
30株式会社Looop66,556
31株式会社エナリス・パワー・マーケティング62,636
32株式会社東急パワーサプライ61,576
33MCリテールエナジー㈱61,455
34シン・エナジー株式会社60,547
35株式会社グランデータ59,906
36日本瓦斯株式会社58,997
37株式会社 新出光58,553
38株式会社オプテージ58,054
39エバーグリーン・リテイリング株式会社57,081
40リコージャパン株式会社56,809
41株式会社ジェイコムウエスト56,687
42日鉄エンジニアリング㈱52,526
43株式会社ジェイコム東京51,194
44オリックス株式会社50,240
45株式会社afterFIT49,874
46HTBエナジー株式会社49,307
47株式会社リミックスポイント46,983
48アーバンエナジー株式会社44,459
49株式会社グリムスパワー42,766
50全農エネルギー株式会社41,636
2023年11月総合実績(対象514社)

特別高圧TOP30

特別高圧(とくべつこうあつ)とは、主に大規模な商業施設や工場、ビルなどで利用される電圧20,000ボルト以上の高電圧の電力契約を指します。契約電力が2,000kW(キロワット)以上となるケースが多く、大量の電力を安定的に必要とする施設向けの電力供給形態です。この特別高圧で電気を受ける施設には、「特高受変電設備」と呼ばれる大規模な設備が敷地内に設置されており、電力の受電から変電までを自社で担うことになります。そのため、これらの施設では電気主任技術者の常駐が法律で義務付けられており、高度な管理体制が求められます。

なお、2023年11月時点で、特別高圧の電力供給に対応している新電力会社は全国で114社確認されています。

順位小売事業者名特別高圧
(単位:1,000kWh)
1株式会社エネット197,511
2株式会社CDエナジーダイレクト93,168
3丸紅新電力株式会社80,373
4株式会社関電エネルギーソリューション43,373
5株式会社FPS40,812
6ゼロワットパワー株式会社38,376
7旭化成株式会社30,994
8大阪瓦斯株式会社30,818
9株式会社グローバルエンジニアリング29,524
10東京ガス株式会社24,334
11デジタルグリッド株式会社24,081
12日鉄エンジニアリング㈱23,973
13九電みらいエナジー株式会社23,767
14サミットエナジー株式会社21,968
15ミツウロコグリーンエネルギー株式会社20,924
16アーバンエナジー株式会社18,164
17イーレックス株式会社17,138
18エバーグリーン・マーケティング株式会社16,395
19出光興産株式会社13,865
20シナネン株式会社12,036
21出光グリーンパワー株式会社11,966
22大塚ビジネスサポート株式会社9,078
23東邦ガス株式会社7,518
24株式会社フォレストパワー7,367
25ENEOS株式会社7,185
26リエスパワーネクスト株式会社6,990
27荏原環境プラント株式会社6,859
28株式会社JNCパワー6,446
29三井物産株式会社6,441
30株式会社UPDATER5,572
2023年11月特別高圧 供給実績(対象114社)

高圧電力TOP30

高圧電力とは、主にビルや病院、学校、店舗、工場といった中規模以上の施設で利用される電力契約で、供給電圧6,000ボルト以上、契約電力50kW以上2,000kW未満の範囲に該当します。家庭用の「低圧契約」とは異なり、より多くの電力を安定的に供給するための仕組みが取られています。高圧で電気を受ける施設では、敷地内にキュービクル(高圧受変電設備)と呼ばれる変電装置が設置されており、そこから建物内の各設備へ電力を分配します。このような設備を安全に運用するために、電気主任技術者による定期点検が義務付けられており、法令に基づく保守管理体制が求められます。

2023年11月時点では、高圧電力の供給実績のある新電力が410社にのぼります。これは、新電力の中で多くの事業者が参入している分野であり、競争が激しい市場と言えるでしょう。料金プランの多様化が進んでおり、使用量や使用時間帯に応じた最適なプランを選べる点も魅力です。

中小企業や事業用施設にとって、高圧電力の契約先選びはコスト削減だけでなく、電力の安定供給やサポート体制の充実度にも関わる重要な判断材料です。高圧電力を検討している方は、供給実績のある信頼性の高い新電力会社を選ぶことで、長期的な安心と経済的メリットを得ることができるでしょう。

順位小売事業者名高圧電力
(単位:1,000kWh)
1株式会社エネット417,087
2日本テクノ株式会社251,140
3丸紅新電力株式会社213,892
4ミツウロコグリーンエネルギー株式会社196,959
5ENEOS株式会社183,915
6株式会社関電エネルギーソリューション179,262
7株式会社U-POWER123,740
8株式会社CDエナジーダイレクト107,562
9九電みらいエナジー株式会社86,284
10エバーグリーン・マーケティング株式会社71,714
11シナネン株式会社70,310
12デジタルグリッド株式会社61,223
13大和ハウス工業株式会社57,380
14株式会社エナリス・パワー・マーケティング55,464
15出光興産株式会社52,109
16オリックス株式会社49,237
17ゼロワットパワー株式会社47,908
18MCリテールエナジー㈱46,838
19株式会社afterFIT44,378
20株式会社 新出光43,948
21リコージャパン株式会社43,386
22株式会社グローバルエンジニアリング43,114
23サミットエナジー株式会社42,056
24株式会社リミックスポイント36,189
25株式会社FPS32,979
26株式会社UPDATER30,123
27王子・伊藤忠エネクス電力販売株式会社29,815
28東京ガス株式会社29,466
29エネサーブ株式会社29,177
30日鉄エンジニアリング㈱28,553
2023年11月 高圧電力 供給実績(対象410社)

低圧電力TOP30

低圧電力とは、主に一般家庭や小規模な店舗・事業所向けに供給される電力のことで、供給電圧は100~200ボルト以下、契約電力は50kW未満となっています。日本国内のほとんどの家庭や小規模事業者がこの「低圧契約」で電力を利用しており、最も一般的な電力形態です。低圧電力には大きく分けて2つの契約形態があります。ひとつは、照明や家電製品に使われる電灯契約(従量電灯)、もうひとつは、小規模事業者がエアコンや冷蔵設備などの動力機器を利用するための動力契約(低圧電力)です。高圧契約と異なり、低圧契約では敷地内に専用の変電設備(キュービクルなど)は必要ありません。そのため、初期設備投資や保守管理の手間が不要で、個人でも法人でも導入しやすい点が大きな特徴です。

2023年11月時点では、低圧電力の供給実績がある新電力は全国で433社にのぼります。これは新電力市場において非常に多くの企業が参入している分野であり、各社が家庭や小規模事業者向けに多彩な料金プランやキャンペーンを展開しています。

電力自由化によって、低圧契約の利用者も自由に電力会社を選べるようになりました。電気代を見直したい、再生可能エネルギーに力を入れている会社と契約したい、といったニーズに応える選択肢が増えている今、供給実績のある信頼性の高い新電力会社を選ぶことが、電力会社の乗り換えで後悔しないためのポイントです。

順位小売事業者名低圧電力計
(単位:1,000kWh)
1東京ガス株式会社751,536
2大阪瓦斯株式会社406,321
3SBパワー株式会社360,642
4auエネルギー&ライフ株式会社298,181
5ENEOS株式会社250,118
6株式会社ハルエネ206,743
7東邦ガス株式会社147,992
8NTTアノードエナジー株式会社128,138
9楽天エナジー株式会社80,296
10ミツウロコグリーンエネルギー株式会社79,883
11株式会社エネワンでんき73,115
12大和ハウス工業株式会社71,925
13株式会社PinT71,878
14株式会社CDエナジーダイレクト68,210
15株式会社Looop62,998
16株式会社グランデータ59,906
17日本瓦斯株式会社58,429
18株式会社オプテージ58,054
19エバーグリーン・リテイリング株式会社57,081
20株式会社ジェイコムウエスト56,687
21北海道瓦斯株式会社51,263
22株式会社ジェイコム東京51,194
23九電みらいエナジー株式会社49,469
24HTBエナジー株式会社44,563
25株式会社東急パワーサプライ43,955
26シン・エナジー株式会社41,606
27株式会社エネット41,166
28株式会社ジェイコム湘南・神奈川40,045
29株式会社ジェイコム埼玉・東日本39,070
30出光興産株式会社36,357
2023年11月 低圧電力 供給実績(433社)

資源エネルギー庁 統計表一覧より作成

まとめ

今回ご紹介した新電力ランキングに、みなさんが契約している電力会社は入っていたでしょうか?このランキングは、電力会社の供給実績(販売電力量)をもとに作成されたもので、電気料金の安さや経営の健全性を評価したものではありません。つまり、「この会社が一番安い」「この会社が一番安心できる」といった内容ではなく、あくまで実際にどれだけの電力を供給しているかという“規模感”や“選ばれている実績”を示すデータです。

それでも、数ある新電力会社の中で、どの企業が実績を積み上げているのかを知ることは、電力会社選びの参考になります。「こんな新電力会社があったのか」「よく見かける社名だけど、どれくらい使われているの?」といった新たな発見や気づきのきっかけになれば幸いです。

なお、この供給実績データは、資源エネルギー庁が毎月発表している公的な統計情報に基づいています。もしご好評をいただければ、今後も毎月データを更新し、最新のランキングをお届けしていきたいと考えています。電力自由化が進む中で、「どの会社を選ぶか」は光熱費の見直しだけでなく、企業の信頼性やエネルギーの在り方にも関わる大切な判断です。これを機に、ぜひご自身が利用している電力会社についても一度チェックしてみてください。

>未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

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