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一挙公開!2024年度の太陽光発電実績

確定申告しました!

皆さん、こんにちは。
2025年の確定申告期間は2月17日から3月17日ですが、手続きはもうお済みでしょうか? 私も先日、ようやく申告を終えることができてホッとしているところです。

会社員であれば年末調整で完結しますが、個人事業主や副業で収入がある場合には確定申告が必須となります。その中には意外と見落とされがちなケースとして、太陽光発電事業からの収入も含まれるのです。実際に私自身も、小規模ながら太陽光発電を運営しているため、毎年確定申告を行う必要があります。

今回は少し本題から外れますが、改めて「どんな場合に確定申告が必要になるのか」を整理してみたいと思います。副業や発電事業をされている方はもちろん、これから新しい収入源を得ようと考えている方にとっても、きっと参考になるはずです。

確定申告が必要な場合とは?

住宅用太陽光発電(発電量が10kW未満):
住宅用太陽光発電で得た売電収入が年間20万円を超える場合、雑所得として確定申告が必要

産業用太陽光発電(発電量が10kW以上):
産業用太陽光発電で得た売電収入が年間38万円を超える場合、事業所得として確定申告が必要

昨年1年間の発電実績

確定申告を終えて改めて収支を振り返ってみると、パワーコンディショナーの買い替えやメンテナンスコストの上昇が響き、残念ながら赤字という結果になってしまいました。今年こそは何とか黒字転換を目指したいところです。

申告の際はどうしても「売上」「経費」といった金額面ばかりに目が行きがちですが、実は発電量(kWh)の推移を振り返る機会は意外と少ないものです。そこで今回は視点を変えて、過去の発電量データをダウンロードし、太陽光発電の実績そのものを見直してみました。

2024年1月から12月までの年間発電量の実績データは以下の通りです。数値を振り返ることで、発電事業のポテンシャルや改善ポイントが見えてきます。

私の発電所実績(関西電力エリア DC30kW)

2024年1月から3月の発電量は、過去のブログでも触れた通り、パワーコンディショナーの故障によって極端に少ない結果となりました。太陽光発電にとっては大きなロスであり、「もっと早く対応していれば…」と悔やまれるところです。

パワーコンディショナーは発電設備の“心臓部”ともいえる重要機器で、突然の故障は発電量の大幅な低下や売電収入の減少につながります。私自身も今回のトラブルでその重要性を痛感しました。

なお、パワーコンディショナーの急な故障にどう備えるか、どのように対応すべきかについては、以前の記事で詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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4月にパワーコンディショナーを復旧させてからは順調に発電していたのですが、ここで直面したのが「出力制御」という大きな問題です。

ご存じの方も多いと思いますが、出力制御は太陽光発電の発電量が需要を上回るタイミングで実施されます。特に3月〜6月の発電ピーク時期や、10月〜11月の需要が落ち込む時期に発生しやすく、私の発電所でも例外ではありませんでした。

私の設備はオフライン発電所に該当するため、実際の制御は代理で行われ、その分は代理制御調整金で精算されます。年間の精算比率はおよそ0.5%程度と、数字だけを見れば大きな損失ではありません。しかし、やはり想定していた利益が削られるのは正直なところ気持ちの良いものではありません。

出力制御は今後さらに頻度が増える可能性もあるため、発電事業者としてはリスクを理解したうえで収益計画を立てることが不可欠だと痛感しています。

関西電力エリア 精算比率

代理制御実施月精算月
特別高圧
高圧大口
精算月
高圧小口
低圧
精算比率
オンライン制御事業者
精算比率
オフライン(代理)事業者
2024年4月2024年6月分2024年7月分5.06%-6.54%
2024年5月2024年7月分2024年8月分7.04%-10.72%
2024年6月2024年8月分2024年9月分4.39%-6.27%
2024年7月2024年9月分2024年10月分
2024年8月2024年10月分2024年11月分
2024年9月2024年11月分2024年12月分
2024年10月2024年12月分2025年1月分1.54%-4.91%
2024年11月2025年1月分2025年2月分1.59%-2.43%
2024年12月2025年2月分2025年3月分
関西電力送配電株式会社 オンライン代理制御(経済的出力抑制)精算比率(2024年度)

2025年の出力制御見通し

それでは気になる2025年の出力制御の見通しについて考えてみましょう。現時点の予測では、北陸電力エリアで制御量が増加傾向にある一方、それ以外のエリアでは横ばい、もしくは減少が見込まれています。発電事業者としては、全体的に制御が抑えられる方向にあるのは素直に喜ばしいニュースです。

ただし、注目すべきは東京電力エリアで初めて出力制御が始まる見込みとなった点です。これまで首都圏は旺盛な需要に支えられ、供給過剰に陥ることはありませんでした。しかし、近年は家庭向けの自家消費型太陽光の普及や、企業によるオフサイトPPAの拡大が進んでおり、需給バランスが変化しつつあります。その結果、2025年には初の出力制御が実施される可能性が高まっています。

再生可能エネルギーの導入拡大が続く限り、出力制御は今後も増加傾向にあると予想されます。発電事業者にとっては収益への影響だけでなく、制御リスクを織り込んだ事業計画や運営戦略がますます重要になっていくでしょう。

電力エリア出力制御率(%)出力制御量(億kWh)
北海道ネットワーク0.30%0.20億kWh
東北電力ネットワーク2.15%3.75億kWh
東京電力パワーグリッド0.01%0.26億kWh
中部電力パワーグリッド0.41%0.69億kWh
北陸電⼒送配電2.14%0.38億kWh
関西電力送配電0.36%0.36億kWh
中国電力ネットワーク2.82%2.75億kWh
四国電力送配電2.40%1.32億kWh
九州電力送配電6.10%10.4億kWh
沖縄電力0.20%0.01億kWh
経済産業省 次世代電力系統ワーキンググループ資料

最後に

昨年の売電実績は、パワーコンディショナーの故障など不運も重なり、正直なところ満足できる結果にはなりませんでした。しかし、2025年は出力制御が減少する見込みもあり、少しずつ希望を持っています。

一方で課題となるのが、メンテナンスコストや機材交換コストの上昇です。特に太陽光発電は長期運用が前提となるため、いかにランニングコストを抑えながら安定した発電を維持するかが収益性を大きく左右します。

今後は、定期点検の効率化や部品の寿命を延ばす工夫、あるいは発電所管理を外部委託する際の費用対効果の見極めなど、太陽光発電におけるコスト削減の具体策を探っていきたいと考えています。もし実際に取り組まれている良い方法や工夫があれば、ぜひご意見をお聞かせください。現場の声は、同じ発電事業者にとって非常に参考になるはずです。

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未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

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