SDGs 脱炭素 カーボンニュートラル 再生可能エネルギー発電促進賦課金 出力制御 卸電力市場 新電力ランキング 容量市場 取り巻く環境が大きく変化する電力業界 太陽光発電所の運営から電力小売制度まで、誰にでも分かりやすく解説します | エネルギートレンド

実話!パワコン故障してしまった!こんな時どうしよう?最善の方法とは?

太陽光発電事業のリスク


パワコンが故障しました!実話です。


太陽光発電所を運営する上では、盗難被害や自然災害、出力制御など、さまざまなリスクが伴います。しかし、意外と見落とされがちなのが「パワーコンディショナー(パワコン)の故障」です。パワコンは、発電した直流電力を家庭や電力会社が利用できる交流電力に変換する太陽光発電の心臓部とも言える重要な機器です。この機器が故障してしまうと、当然ながら発電はストップし、売電もできなくなってしまいます。その結果、売電収入が得られず、事業としての継続が難しくなるリスクもあります。

一般的に、パワーコンディショナーの寿命は10年前後とされています。しかし、機器の個体差や設置環境によっては、10年未満で突然故障するケースも珍しくありません。実際、私自身の発電所でも7年目にしてパワコンが故障しました。正直、まだまだ大丈夫だろうと油断していた矢先の出来事でした。これまで何度もブログで「パワコン故障のリスク」について触れてきましたが、まさか自分の発電所で起こるとは思ってもいませんでした。今回のトラブルでは、正規の方法ではない応急処置も行いました。そのため、ここでご紹介する内容は、あくまで一つの体験談であり、必ずしも推奨できるものではありません。読者の皆様には、自己責任でご判断いただくようお願いします。今回のトラブルでは、正規の方法ではない応急処置も行いました。そのため、ここでご紹介する内容は、あくまで一つの体験談であり、必ずしも推奨できるものではありません。読者の皆様には、自己責任でご判断いただくようお願いします。

まさか!パワコン故障

今から約10ヶ月前、太陽光発電所の遠隔監視システムから、見慣れないエラーメッセージ「系統不足電圧」が送られてきました。この時点で、発電量の表示は「0kWh」となっており、明らかに異常な状況でした。原因が特定できないまま、翌日に現地へ急行。現地では、パワーコンディショナーの警告ランプが赤く点灯しており、何を試しても復旧せず、完全に故障している状態でした。このように、遠隔監視装置による異常検知は、パワコンなどの設備トラブルの早期発見に非常に重要です。

太陽光発電所におけるパワーコンディショナー(パワコン)の故障原因としては、一般的に「水没」「落雷」「飛来物による損傷」などが挙げられます。これらは外的要因による故障として比較的分かりやすいトラブルです。しかし今回、故障したパワコンをメーカーに回収・調査してもらった結果、具体的な故障原因の特定には至らず、診断結果は「自然故障」とのことでした。つまり、明確な物理的損傷や異常が見られないにも関わらず、機器内部で何らかの不具合が発生し、パワコンが正常に稼働しなくなったケースということになります。
太陽光発電システムのパワーコンディショナー(パワコン)が突然故障した場合、最初に行うべき対応は、メーカーへの故障連絡です。設置を販売店や施工代理店を通じて行っている場合は、まず代理店に連絡し、そこからメーカー対応を依頼する流れが一般的です。多くのパワコンには、メーカー保証(製品保証)がついており、保証期間内での自然故障に限り、無償での修理または交換が可能です。したがって、故障が発生した際は、まず保証の適用条件を確認することが重要です。

メーカーに連絡する際には、以下の情報が求められることが多いため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。

  • 保証書の原本またはコピー
  • 製造番号(シリアルナンバー)
  • 設置日・購入日・設置場所の情報
  • 発生しているエラーメッセージやランプの状況
  • 遠隔監視システムのログデータ(あれば)

これらの情報を手元に用意したうえで連絡することで、メーカーサポートの対応が迅速かつ正確になります。

パワーコンディショナー(パワコン)の故障が発覚した当初、私の設備はメーカー保証期間内だったため、「無償で早期交換してもらえるだろう」と安心していました。しかし、実際はそう簡単には進みませんでした。販売代理店からは「現在、半導体が深刻な品薄状態にあるため、交換まで最低2〜3ヶ月はかかる」と説明を受けたのです。さらに後日、メーカーからの正式な連絡では「早くても4〜5ヶ月待ちになる可能性がある」との返答がありました。

私が利用していた信販ローンに付帯された利益補償保険も、今回のケースには適用されず。条件外とのことで補償を受けられず、発電停止中の売電損失は全て自己負担となってしまいました。ただこの時期は冬場で、太陽光の発電量が比較的少ないシーズンだったため、「影響は軽微に収まるだろう」と楽観的に捉えていたのです。ところが、それから5ヶ月が経過しても交換用パワコンの入荷予定は立たず。代理店に何度問い合わせても「メーカーからの回答待ち」との一点張りで、解決の糸口すら見えませんでした。

パワコンを買えばいい?

パワーコンディショナーの納期が大幅に遅延する中で、私が思いついたのが「同型の中古パワコンを自費で調達する」という選択肢でした。ある日、太陽光発電関連の情報をネットで探していたところ、「ソーラーオフ」という太陽光設備のアウトレット専門サイトにたどり着きました。そこでは、未使用のパワコンがアウトレット品として格安販売されていたのです。この製品は未使用ではあるものの、メーカー保証が切れているためにアウトレット扱いとなっており、新品定価の半額以下で購入可能でした。

パワコンの故障により、長期間発電ができない状態が続くと、売電収入の大幅な減少に直結します。特に、春から初夏にかけての発電ピークシーズンを迎える直前だったため、何としてでも早期復旧が必要でした。

そこで私は、メーカーからの無償交換品が届くまでの「つなぎ」として、中古パワコンを導入することを決断。自己負担ではありましたが、発電停止による損失を最小限に抑えることができると判断しました。
(広告記事ではありませんが、リンクを貼っておきます。)

ソーラーパネルやパワーコンディショナからケーブルまで、太陽光部材専門店【ソーラーオフ】。お得なアウトレット商品やまとめ割…

代替品を利用する際の注意点
ここで注意点が2点あります。

●同型のパワコンと交換しないといけません。
●事前にメーカーの承諾を得なければなりません。


太陽光発電所で故障したパワーコンディショナー(パワコン)を代替品で一時的に交換する場合には、注意すべき重要なポイントが2つあります。誤った対応をすると、FIT認定(固定価格買取制度)の取り消しリスクもあるため、慎重な対応が求められます。

同型のパワコンでなければFIT申請が必要

まず1点目は、代替パワコンは必ず「同型・同仕様の機器」でなければならないという点です。もし出力や機能、型式が異なるパワコンに交換する場合は、経済産業省への「設備変更届出(FIT変更申請)」が必要になります。この申請を行わず、勝手に仕様の異なるパワコンに交換した場合、FIT認定が取り消される可能性があるため要注意です。特に、発電設備の変更は制度上のチェックが厳格に行われるため、軽視は禁物です。

不正改造と誤解されないよう、メーカーに事前報告を

2点目は、メーカーに代替設置の事前連絡を行うことです。万が一、不正改造や非正規施工を疑われると、今後の保証やサポートに影響が出る可能性があります。私の場合も、メーカー保証が切れていたものの、メーカーに状況を説明し、「自己責任で一時的に使用する」と了承を得た上で対応しました。このプロセスを経ることで、後々のトラブル回避にもつながります。また、電気工事士の資格を持つ施工業者に正式な手続きを依頼し、4月初旬に代替パワコンへの交換工事を実施。無事に発電の再開にこぎつけることができました。

備えあれば憂いなし


今回、自分自身がパワコン故障を体験して改めて感じたことは、この2点です。

●太陽光発電所の運営で大切なことは、ダメージコントロールである。
●パワコンは予備を保有しておいたほうがロスを最小限に抑えられる。


太陽光発電所の収益は、基本的に「発電量 × 売電単価 × 運用年数」で決まります。たとえ天候に恵まれて一時的に発電量が増加しても、それは限定的であり、中長期的な収益へのインパクトは大きくありません。


長期運用を見据えたリスク対策|パワコンの予備保有という選択肢

太陽光発電の中枢機器であるパワーコンディショナー(パワコン)は、突然の故障によって即座に売電停止状態になるリスクがあります。しかも、昨今の半導体不足の影響により交換品の納期が長期化するケースも少なくありません。このような状況を想定し、価格の安い中古パワコンやアウトレット品を予備機として保有しておくことは、非常に有効なリスクヘッジです。実際にトラブルが発生した際に、即時交換が可能であれば、発電停止による損失を大幅に軽減できます。

まとめ|安定した発電事業のために「備え」を日常に

これから長い期間にわたり太陽光発電所を運営される方にとって重要なのは、「ダメージをいかに最小限に抑えるか」という視点です。予備パワコンの保有は初期投資として見ればコストに感じるかもしれませんが、大切な発電ピークシーズンを守る保険的存在となります。もし手頃な価格で入手できるパワコンがあれば、将来への備えとして確保しておくのは賢明な選択肢と言えるでしょう。

>未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

未来のエネルギーを、今こそ本気で考える

エネルギー資源が限られた日本において、私たちがこれまでと変わらぬ豊かな暮らしを続けていくためには、新しい電力の「つくり方」と「使い方」を真剣に見直す必要があります。 環境への負荷を最小限に抑えながら、持続可能なエネルギー社会を実現する――それは国や企業だけでなく、私たち一人ひとりが取り組むべき課題です。 今こそ、再生可能エネルギーの可能性に目を向け、賢く選び、スマートに使う。その選択が、次の世代の未来を支える力になります。

CTR IMG